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議会活動

平成30年 予算委員会

教育費 要旨

1 図書館について

全文

◯委員(赤坂大輔君)

 図書館について、お伺いいたします。出版不況が叫ばれて久しいですが、図書館の過剰なサービスが拍車をかけているのではないかということについて、お伺いしていきます。

 公立図書館は今3,248館あるということですが、図書館の貸し出し冊数は全国で現在7億1,149万冊。対して書籍の販売部数は6億7,738万冊。すなわち、図書館の方が販売部数を上回っているということです。出版業界の売り上げが、10年前までは2兆5,000億円だったかと思いますが、今は4割減って1兆5,000億円です。売り上げは4割減、本屋も10年前に比べ4割減っているという実態があります。

 例えばある自治体に行くと、ハリー・ポッターの新刊本が50冊ぐらい並んでいるという実情を見ました。港区における新刊図書の複本はどうなっていますでしょうか。



◯図書・文化財課長(佐々木貴浩君)

 新刊本の複数冊の購入につきましては、1タイトル当たり各館最大3冊までとし、全館合わせて最大18冊を目安としてございます。



◯委員(赤坂大輔君)

 私も出版業界を離れて12年たちます。私がいた歴史の出版社、部署は歴史関連本では業界最大手でしたが、数年前にその部署はなくなりました。アマゾンやブックオフの存在など要因はさまざまだと思いますが、せめてお願いするのは、本に愛着のある図書館に、新刊本の貸し出しを猶予していただきたいということです。

 私は、この仕事をする前は本の執筆や編集をしておりました。本というのは、まず編集者が著者に企画を持ち込む。もしくは著者が編集者に企画を持ち込む。さまざまなパターンがありますが、著者が本を書いて、編集者が資料を集める。イラストを入れるならイラストレーターに頼んだり、地図をつくったりします。

 それで入稿しますが、それで終わりではなくて、その後、校正作業と校閲という非常に大事な仕事があります。私も本を書いているときは、校閲が非常に怖かったものです。校閲というのは、例えば東北の寒村でこんなお酒を飲みましたと書いたら、本当にその時期にそのお酒が流通していたのかというのを調べるのです。校閲者というのは20年、30年たたないと一人前と言われないぐらいな方々で、各出版社には腕ききの校閲者がいます。その間にも表紙や帯をつくっていくなど多くの方々が携わります。

 定価をどう設定するかというと、私の経験では、初版の9割が売れてプラスマイナスゼロぐらいの価格設定をします。ただ、今は4割は返品されるので、もうほとんど赤字です。なぜ赤字だらけの出版社が辛うじて生きながらえているかというと、ベストセラー本が出るからです。「村上海賊の娘」というのは今では16刷り出たでしょうか。ベストセラーになりました。そういうベストセラーがあるから、その恩恵で出版社はやっていかれるということです。

 ですから、港区は新刊本を各館3冊ずつしか購入していないということで、非常に良心的だとは思っています。例えばある自治体では、その自治体出身の著者の本は、貸し出しを禁止しています。著者の意向も聞いてです。ぜひその辺の臨機応変の対応をお願いします。

 そして、新刊本は、貸し出しの猶予期間を設けていただきたいと思っています。出版された瞬間に図書館で借りられると、買う人も限られてしまいます。猶予期間についてお伺いします。



◯図書・文化財課長(佐々木貴浩君)

 貸し出し猶予期間は特に設けておりませんが、新刊本の貸し出しは、発売後、選書、注文、貸し出し準備を行うため、実際に貸し出しするまでの期間は、発売後約1カ月程度を要しております。



◯委員(赤坂大輔君)

たびたびすみません、雑誌はどうなっていますか。



◯図書・文化財課長(佐々木貴浩君)

 最新号の雑誌の場合は図書館内での閲覧のみで、貸し出しは行ってございません。



◯委員(赤坂大輔君)

 非常に良心的だとは、最低限良心的だとは思っておりますが。 図書館のサービスが過剰と申し上げました。以前ブックシャワーなるものが導入されたと聞きました。本をブックシャワーという機械の中に入れると、滅菌されていいにおいがすると。他人がさわったものが嫌な方は図書館に行かないで本屋さんで新品を買えばいいわけで、ちょっとサービス過剰だなと思っています。

 非常に良心的だという港区の図書館事情を認識しました。予約が200人待ちという本もあるようで、恐らく多くの区民、在勤の方は、もっと複本を入れてほしいと思っているかもしれませんが、そこはやはり受けてほしくないと思います。要するに卵をただで配っていても、鶏が痩せ細って死んでしまったらどうしようもないわけです。

 出版社との共存という言い方も適切ではないかもしれませんが、本を読むという文化を涵養するために、出版社と図書館はいい関係であるべきです。そのあたりの工夫はありますか。



◯図書・文化財課長(佐々木貴浩君)

図書館では、図書館利用者の要望と出版社への影響を配慮し、新刊本の購入数を決定し貸し出すなどの配慮を行い図書館の運営を行ってございます。図書館が適切な時期にさまざまなジャンルの図書の購入を行い、子どもから大人まで幅広い年代に対して、活字に触れる楽しさや、新たな本との出合いを通じ、これまで余り活字に触れることのなかった多くの方々の読書意欲を高めることで、区民等への図書の貸し出し数が増加するとともに、図書の購買意欲の向上にもつながるものと考えてございます。



◯委員(赤坂大輔君)

 ありがとうございました。私も歴史家の、本を書く最末端に連なる者として、1次資料に当たらず小説の類いを読んで歴史をわかったようなつもりになってしゃべるわけにいかないので、1次資料を読みます。そしてまた最新の学術書を読みます。学術書というのは6,000円から8,000円するので、20代のころは図書館に通い詰めて読みました。本屋さんは売れる本しか置かない実情がありますが、図書館というのは希少本の学術書などが並ぶ古色蒼然とした場所であっていてほしいなという希望があります。今後ともよろしくお願いします。

 質問を終わります。