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議会活動

平成26年第3回定例会 代表質問

要旨

1 特定失踪者に対する、当該区としての認識と取り組みについて
  • ア 港区の職員であった生島孝子さんは、北朝鮮に拉致された疑いが極めて高い特定失踪者に名を連ねている。しかしながら、まずもって区民の認知がゼロに近い。北朝鮮による調査第一弾の発表が迫るなか、区民の認知を高めていくべき。本庁ロビーにおけるパネル展示、区報、ホームページ、ケーブルテレビにおける告知等々、職員の失踪という衝撃の実態を区民に明示せよ。
  • イ その他
2 プレーパークについて
  • (1)事業の現状について
    ア 今後の更なる展開を期待するが、進捗についての認識は。
    イ 今後の展開、方向性について伺う。
  • (2)その他
3 電線類地中化について
  • (1)港区電線類地中化整備基本方針について
    長期にわたる整備期間における体制と推進努力を伺う。
  • (2)工事費について
    削減に関する対応や対策などの展望や考え方を伺う。
  • (3)その他
4 地方税財源の拡充について
  • (1)自主財源の確保について
    国に対して意見を表明すべき。
  • (2)その他
5 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技会場について
  • (1)トライアスロン競技会場について
    都知事の会場変更発言は容認できない。従来どおりのお台場海浜公園での開催へ取り組もう。
  • (2)その他
6 高齢者人口増加に伴う施策について
  • (1)認知症施策について
    充実に向けた区の取り組みについて
  • (2)次期港区高齢者保健福祉計画の策定について
    新たな特別養護老人ホームの整備を計画すべき。
  • (3)その他
7 災害に強い街づくりについて
  • (1)港区に起こりうる災害について
    今一度区長の考えを伺う。
  • (2)その他
8 JR新駅と周辺が一体となった街づくりについて
  • (1)地域の課題の解決とにぎわいが創出できる計画について
    地域住民への積極的な情報提供と意見交換を行う場を。
  • (2)その他
9 婚姻歴のない一人親世帯への寡婦(夫)控除のみなし適用について
  • (1)検討の状況と今後の予定について
    区長の考えを伺う。
  • (2)その他
10 港区国際交流協会について
  • (1)適正な拠点について
    国際交流にふさわしい場所を今一度選定すべき。
  • (2)その他
11 その他

全文

◯十七番(赤坂大輔君)

 平成二十六年第三回港区議会定例会にあたり、自民党議員団を代表し、区長に質問いたします。よろしくお願いいたします。

 さて、質問に移る前に一言申し添えます。長年日本の国益を損ねてきた朝日新聞が、先月の八月五日、六日付朝刊にて慰安婦問題をめぐる同紙の虚偽報道を認めました。なぜ日本だけが世界中から糾弾されているのか。それは軍による強制連行があったかないかの一点によるものでありますが、その強制であったという記事を朝日新聞が三十二年の年月を経て、ついに虚偽であることを認めたわけです。

 朝日新聞が取り上げ続けた日本側唯一の証言者である吉田清治氏は、昭和五十八年に「私の戦争犯罪」を著し、注目を浴びましたが、十二年後には慰安婦狩りが事実ではなく捏造であることを自ら認め、「本に真実を書いても何の利益もない」、「人権屋にだまされた私も悪かったが」と発言。出版担当者も「あれは小説ですよ」と述懐しました。

 しかしながら、その吉田証言を根拠に、この虚偽は事実として扱われ、一九九六年の国連人権委員会による「クマラスワミ報告」を皮切りに、「マグドゥーガル報告」、アメリカ下院決議、オランダ下院決議、カナダ下院決議、欧州議会決議などが強制連行による従軍慰安婦問題として日本を非難し、補償を行うよう求める決議を行っているどころか、世界中に「日本による被害を訴える慰安婦像」が建設されるという異常事態が現出されております。三十二年間にわたる一連の朝日新聞報道が国際誤解の元凶であることは明白であり、その当事者が虚偽を認めても、もはや拡散はとどめようがなくなっております。

 平成十九年の第一次安倍内閣では、「強制連行を示す記述はない」との答弁書が閣議決定されました。当時、多くの非難をする方々がいらっしゃいましたが、この方々は一体この実態を受け、どのようになさるおつもりなのでしょうか。この世紀の冤罪とも言うべき事件にくみした彼ら、彼女らが向き合うべきなのは、いわれなき非難を受けた日本国であり、先人たちであり、我々であり、我々の子ども、そして子々孫々たちです。

 日本国民は、我々は大いに怒るときであります。私は日本を不当におとしめてきた方々に問いたい。このリングから逃げずに真っ向鼻面さらして、このうその事実と向き合うこと。そして、沈黙を続ける無関心な方々に問いたい。我を忘れて激昂するときではないのですかと。なぜそんなに冷静でいられるのですかと。実態とは無関係な不当なプロパガンダによって自国の名誉が汚されようとしているのです。おのれの投げ出せるもの全て、すなわち命をかけて戦陣に散っていった英霊たちがおとしめられているのです。じだんだを踏んで悔しがるときです。机をガンガンたたいて激昂するときです。父祖がはずかしめられているときに激昂して反論することはそんなにおかしいことでしょうか。大人の対応、国際社会で大人の対応が功を奏したことがありますか。今の日本に必要なのは怒りです。この怒りの発信によってこそ、日本を取り巻く対日包囲網を打破できると高らかに申し上げ、質問に移ります。

 最初に、拉致問題についてお伺いいたします。

 北朝鮮による拉致被害者五人が帰国を果たしたのは、平成十四年秋でした。あれから十二年、ようやく拉致問題が動き出す気配があります。五月末の「日本人に関する全ての問題を解決する」との日朝合意に基づき、北朝鮮が特別調査委員会を設置し、調査をスタートさせました。調査結果の第一弾が今月中にも出る模様です。安倍首相は「全ての拉致被害者のご家族がご自身の手で抱きしめる日がやってくるまで、私たちの使命は終わらない」と決意を述べております。

 日本政府は現時点で十二件十七名の日本人拉致を認定しておりますが、拉致された疑いが濃厚な行方不明者は、昨年十月の警察庁の発表では八百六十二名とされております。拉致認定されていない方々は特定失踪者とされております。

 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、すなわち救う会は平成十五年一月、独立した調査機関として特定失踪者問題調査会を設立し、特定失踪者問題が取り沙汰されるようになりました。十二年前に帰国した五人の被害者のうち、曽我ひとみさんは拉致認定されていない特定失踪者に名を連ねていたことは言うまでもありません。しかしながら、失踪日時が昭和二十年代にさかのぼる事例もあり、捜査機関により家出と断定され捜査を打ち切られた事例も多々あります。そもそも当時の社会認識から申し上げまして、拉致の観点から捜査されたもの自体が少なく、決定的に情報が不足しており、多くの方が認定には至っていないというのが実情であります。

 その特定失踪者に名を連ねる生島孝子さんは、失踪日時の昭和四十七年十一月一日当時、港区の麻布支所において電話交換手として勤務されておりました。この案件は、五年前の平成二十一年度予算特別委員会総務費の款で私が取り上げましたので、ご記憶の方も多かろうと存じます。五年前の当時、私が被害者である生島孝子さんのお姉様、馨子様からお預かりした港区への手紙をいま一度読ませていただきます。五年前の手紙なので、年次等のずれが生じていることをあらかじめ申し上げておきます。

 「拝啓 私は、昭和四十六年、四十七年の二年弱、港区役所麻布支所の交換手で奉職しておりました生島孝子の姉でございます。孝子は、昭和四十七年十一月一日、突然行方不明になりました。家族としては、公のことは警察が告発して、後の進捗状況を含め何ら知らされておりません。過去にただ一度、安倍内閣のときの官房長官に書面を受け取っていただいただけです。

 生年月日、昭和十六年六月十四日。失踪日時、昭和四十七年十一月一日。失踪場所、渋谷区笹塚三丁目付近。職場、港区役所麻布支所交換手。告発、平成十六年十月受理。三十三年経過した平成十六年、十八年前に北朝鮮で見たという韓国人男性の証言を得て告発しましたが、いまだ政府の拉致認定、拉致被害者認定が得られず、四年半が経過しております。

 孝子は六年近く東京都中央卸売市場に勤めておりましたが、夜勤がほとんどですので、病弱な母を引き取り、面倒を見たいと、昼間勤務の港区役所に職を求めたのです。孝子の行方不明となった日、母は入院しており、退院後は孝子のもとで予後を過ごせると楽しみにしていたのですが、覆されてしまい、ショックでさらに体調を崩しました。

 母は入退院を繰り返し、夫の死をも乗り越え、三十三年頑張りました。どんな良薬より、「たあちゃんに会う日まで頑張ろうね」という言葉に生きる力を得ておりましたが、目撃証言に安心したのか、証言の七カ月後の寒い二月、九十九歳十一カ月、あと一月で満百歳になるというところで力尽きてしまいました。母は、「たあちゃんを取り返してくれないの」と悔しがって死んだのです。それから四年が過ぎましたが、何一つ進みません。特定失踪者も並行して調査情報収集をしてほしいと強く求めます。

 当時の状況ですが、当時、港区麻布支所に電話交換手として勤務していた孝子は、もう一人の妹、敦子と二人でのアパート生活でした。その日一日年次休暇をとり家事をしていたようですが、次の日、敦子から帰宅しないと聞き、大騒ぎとなりました。

 職場の上司に相談しましたが、五年間、東京都中央卸売市場に勤め、区役所に移って二年弱のせいもありましょうか、区としては冷たい仕打ちでした。捜査依頼に協力していただけるところはありませんでした。おみ足の悪い係長さんだけに応対していただいたことを思い出します。当然、給料は即座に打ち切られております。十月の給料を十一月に母と私で受け取りに伺いましたが、受け取りサインは父でなければ渡せないと言われ、明治生まれでろくに学問を受けていない父は、文字を書くことを嫌がり、苦労したことを思い出します。

 無断退職だと誤解されていたためでありましょう、孝子の荷物置き場を指示され、母とおわびを重ね重ね皆様に申し上げつつ、冷たい目線にさいなまれながら荷物を受け取りました。誤解いただきたくないのですが、当時の港区の方々を責めているわけではありません。拉致など予想だにしない当時、周囲は皆一様にそのような感じでした。

 警察からも、孝子が三十一歳という年齢だからでしょうか、「大方駆け落ちでしょう」とまともに取り合っていただけませんでした。警察は孝子を行方不明者として扱いませんでした。一年後、警視庁の行方不明者特別月間で改めて取り上げられましたが、何ら進展しませんでした。やがて三十年がたち、あの第一次小泉訪朝の際、政府が行方不明者の調査として依頼したリストに載っていなかった曽我ひとみさんがおり、「もしかしたら孝子も」との思いで家族会に入れてほしいと名乗ったのですが、断られました。

 平成十六年、北朝鮮脱北者の韓国人学者が十八年前に孝子を目撃したとの証言が上がりました。孝子と一年間同じマンションで会話したとのこと。六月には私自身が訪韓して彼に確かめてまいりました。以後四年経過しましたが、当然ながら、政府としては何の対応もありません。警視庁としては最大限に捜査をしているが、国や自治体が何も対応しないことに疑問を持っているのではないでしょうか。特定失踪者からの拉致認定も松本京子さん以来途絶えております。

 どうしても理解できないのは、全国の自治体がばらばらの対応をしている点。対象者がいる自治体も支援者も本気でどこまで取り返さなくてはならないと思っているのか、疑問なのです。孝子は拉致されて三十八年目になります。拉致はこのように長い間全国に発生している事件で、しかも現在進行形であります。五人の方とその家族を取り返しただけで解決していないのです。また、拉致認定されていない特定失踪者は置き去りのままです。

 港区役所に当時の方はいなくても、孝子は間違いなく港区の勤務員でした。孝子の事件に関する告知は、特定失踪者も含めて、拉致問題全体の啓蒙、理解に大いに資すると思います。港区にはさまざまな課題がある中、申しわけございません。日本には孝子だけでなく、多くの不審な行方不明者がおります。二十年、三十年、四十年、五十年以上も行方がわからない方がこの東京にもおります。人生のほとんどの期間です。家族も同じ時間を悩んでいます。港区だけの問題ではありません。東京に、また身近に拉致問題があるいうことを多くの方に知っていただきたい。拉致問題の解決にご支援いただきたいと願っております。

 三月なのに春は目前、拉致被害者にもいつの日か春が訪れることを信じております。どうぞ皆様、よろしくお願いします。かしこ」と手紙は結ばれております。

 先ほども申し上げましたが、何分私が五年前にお預かりした手紙ですので年次等にずれがありますが、年次、季節等を気にせずば、本日いただいた手紙と称しても気づかないほどに事態は何ら進展しておりません。

 生島孝子さん失踪当時、お母様のうらさんは白内障の手術で入院していらっしゃいました。あと数日で退院するというときでした。母親思いの孝子さんが、このような時期に自ら失踪することなんて考えられない。孝子さんがうらさんの手術後にお見舞いに訪れたとき、うらさんは手術後ということで目を包帯で巻かれていたために顔を見ることができなかったということです。孝子さんの声を聞いた最後でした。

 母うらさんは、孝子さんの生存を信じておりました。捜し回りました。テレビインタビューでのうらさんの言葉です。「最初は夢中になって捜したんです。心配して捜したんですけど、だんだん日がたつにつれて。あの子は心の優しい子でした。だけど、すごく優しい反面しっかりとした、ものすごくしっかりとした気の強いところ、自立心が強い性格の子だったものですから、だんだんに、もしかして、今までわからないんじゃ、どこかで自立して生きているのではないか。こういうふうに信じるようになってしまって。来年もう百歳になりますけど、どうしてこんなに生きちゃったのかと自分でも思うのですけど、ただ、どこかで生きてくれれば、それがたった一つの頼りです。よろしくお願いします」。

 そして、三十二年後、お姉様の馨子様からの目撃情報を聞いて、うらさんは次のように述べております。「よかった。死なないでくれて、よく頑張ったね。苦労したのだろうね。生きているからには、あんなきちょうめんできれい好きだったから、随分苦労しながらも向こうで身についたわけだね。頑張ったね、あの子」と。「帰ってこれるね」というお姉さんの問いに、「ああ帰れればね」と。お姉様が再び、「百五歳まで生きなきゃならないかな」と問うと、うらさんは「あと五年か」とつぶやき、お姉さんが「あと五年頑張れる」ともう一度問うと、うらさんは「でも、生きていたということだけ大したものだね。苦労したのだね。私が生きていると知ったら、あの子はどう思うかしら。あの子に知らせてあげられたら、それだけが望みなんです」。

 翌年の平成十七年二月七日、百歳を目前にうらさんは亡くなりました。孝子さんに会えぬままに。そして、お姉様の馨子さんは、うらさんの遺骨、遺灰をダイヤモンドにして、ペンダントとして、妹孝子さんの帰還時に妹に贈ろうと仏壇に今も安置しております。母の無念を引き継ぐ覚悟、孝子さんに母の思いを伝えたいとの思いです。

 姉の馨子さんはこのように述べております。「母親の骨をダイヤモンドなどという物体にかえるのだから、眉をひそめる人もいるだろう。もしかしたら罰当たりな考えなのかもしれない。けれども、私はためらわない。特定失踪者の母という立場にあって、娘を思う気持ちの強さだけで生き延びようと消えかかる命の火を必死に燃やし続けた。たとえ体はこの世から消えても、その思いまで葬り去るわけにはいかない。だからこそ、私は母の無念を引き継がなければならないのだ。遺灰ダイヤモンドは私と母の決意表明なのである。母にはダイヤモンドとなって、いつもそばで輝いていてほしい。忘れっぽく投げやりになりがちな私を叱咤激励し、孝子の帰還が一日も早く実現するよう祈っていてほしい」と。本日は、お姉様の生島馨子様が、お母様うらさんのダイヤモンドとともに、傍聴に見えています。うらさんのダイヤモンドが仏壇から外に出るのは、亡くなって十年来、初のことです。

 生島孝子さん失踪日時、昭和四十七年十一月一日と聞いて、私たちは何をしていたのだろうと思い浮かべる方も多いでしょう。多くの人にとってよしにつけあしきにつけ、思い出の一ページと化していることでありましょう。私で申し上げれば、この世に生を受けたばかりのゼロ歳児でした。しかしながら、生島家にとっては、この日より四十一年十カ月間、慟哭さめやまぬ苦しみが続行しているのです。

 私も四六時中拉致問題を考えているとか、被害者を片時も忘れたことはありませんなどという、そんな偽善を気取るつもりはありません。しかしながら、忘れてはならないのです。今、この現在も不当にさらわれた方々が、そしてその家族たちが慟哭の一瞬一瞬を送っていることを、私たちの幸せはほんの偶然の産物にすぎなかったということを、世論を喚起せねば前に進まないのです。そして、それを我々の仲間たちが血の叫びで求めているのです。幾ばくかの一助は港区が担えるはずです。かつては拉致など予想もされなかったが、極めて不自然に蒸発した人物が港区にもいやしなかったか。そう言えばと思い当たる方がいなかったか。拉致は平成十四年の小泉訪朝まで日本全国津々浦々日常的に行われていた犯罪です。

 今回の北朝鮮による調査には特定失踪者も含まれております。特定失踪者に関する国民への周知が極めて不徹底な実情に鑑み、生島孝子さんが港区勤務員であったという、当該区としての自覚を呼び覚まして、一連の事案に対する周知の努力をすべきです。この案件に関して、まずもって区民の認識がゼロに近いのです。北朝鮮による調査第一弾の発表がいよいよ迫る中、区民の認知を高めていくべきです。本庁ロビーにおけるパネル展示、区報、ホームページ、ケーブルテレビなどにおける告知等々、港区職員の失踪という衝撃の実態を区民に明示すべきだと考えますが、区長のご見解と今後の取り組みへの意気込みをぜひお聞かせいただきたいと存じます。

 次に、プレーパークについてお伺いいたします。

 大人の都合に左右されない子どもの空間を増設することを、私は議員になって以来、事あるごとに提言してまいりました。事このことに対するこだわりと本気度は、私は誰にも負けない自負があります。しかも、次世代の子どもたち、そして立場の弱い子どもたちのことでもあり、人気とりやパフォーマンスでこのことに言及する方を心の底から許せないと思っております。大人にとって都合のよいよい子ちゃんを増殖させている近年の都市教育は、私にとっては到底肯んじ得ないものであります。大人の目線による大人にとって都合のよい、大人にとって快適な子どもの遊び場ばかりで、本来、遊びの天才である子どもたちがかわいそうでなりません。大人の目を気にした大人にこびる子どもが異常に増殖しつつあります。また、子ども嫌いの大人は言うに及ばず、一見子ども好きかのような擬態を見せつけても、その実は大人に都合がいい、大人の言うことを無思索に聞くいい子ちゃんのみをかわいがる潜在的な子ども嫌いの大人が増殖していることを実感せずにはおられません。

 四年前の本会議でも取り上げましたが、当時検挙された俗に言うおやじ狩り、ばばあ狩りを断続的に行ってきた都心の少年団は、「金品などはどうでもよかった。大人たちに仕返しがしたかった。幼いころより「うるさい、邪魔だ」と言われ続けてきた。殴りつけてやったのは、小さいころ、「壁にボールをぶつけてはだめだ」と遊びを邪魔したおやじだ」。違う少年は、「幼いころより「男の子はうるさいから嫌だ」と近所のおばさんに言われてきた。小さいころやり返せなかったが、そのばばあをやっつけて、今はせいせいしている」などと犯行動機を吐露しておりました。

 暴力行為は到底容認できるものではありません。しかしながら、子どもを管理し、大人の都合のよいように子どもを型にはめること、子どもの居場所を奪い、その場所を高齢者やカップルや観光客ばかりが占拠することを優先させていれば、そして、子どもの寂しさに向き合わず、実の親ではなく、他人や地域に子どもを育ててもらうという、およそ動物の本性に外れたことをしていれば、いずれ必ず痛烈なしっペ返しが来るなどということを社会や大人たちは覚悟した方がいい。

 こうした中、港区は平成二十三年度からプレーパークの本格的な取り組みを開始しました。プレーパークのことは既にご存じの方も多いと思いますので多くは述べませんが、「自分の責任で自由にのびのびと遊ぶ」という、昔であれば至極当たり前のことが、この都心でできることは大変有意義であり、喜ばしいことだと思っております。子どもたちは遊びの天才です。そこに落ちているもの、そしてそこにあるものなど、いろいろなものを組み合わせ、自分のしたいこと、やりたいことを考え工夫し挑戦して、実現していく。そうした経験こそが大人になって実社会に出てからも荒波に耐える力となるのです。

 さて、先ほども申し上げましたが、港区では平成二十三年度からプレーパークの本格的な実施を始めました。この間、区はプレーパークに対する普及啓発を行うとともに、運営を委託したNPOとともに保護者や地域の方々の協力を得て、高輪森の公園やプラタナス公園などにおいて季節ごとに事業を実施し、成果を上げてきたと思います。

 そこで質問ですが、区は、現在のプレーパーク事業の状況についてどのような段階であるとお考えなのか、お聞かせ願います。

 また、我が国の将来を担う子どもたちのため、プレーパーク事業は今後も続けていくべき重要な区の施策の一つであると私は思うのですが、区は将来プレーパーク事業をどのように展開していくお考えなのか、その方向性についてもお伺いいたします。

 次に、電線類地中化についてお伺いいたします。

 道路上に張りめぐらされた電線類は、都市景観を大きく損ねるとともに、歩道上に立ち並ぶ電柱は歩道の有効幅員を狭め、通行の妨げになっております。また、ひとたび大地震が発生した場合や、地球温暖化に伴い大型化したと言われる台風が来襲した場合は、電柱の倒壊や電線の切断等により避難や救急活動のほか、復旧活動にも支障が生じるとともに、電話や電気などのライフラインも寸断され、私たちの生活に大規模な混乱が生ずるものと予想されます。

 そこで、区は、安全・安心の確保と美しい街並み景観の形成に向け、昭和五十七年から電線類の地中化事業を開始したと聞いております。また、武井区長は就任時において、「電線類については一〇〇%の地中化に取り組む」と表明され、事業を強く推進されており、この結果、港区内全ての道路における電線類の地中化率は三〇%となり、東京二十三区の平均である七%に比べ、はるかに多く地中化が進んでいることを我が会派として高く評価いたします。

 しかしながら、ロンドンやパリ、ニューヨークといった欧米や、シンガポールなどのアジアの主要都市に比べ、その率は決して高い方ではありません。また、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も決定し、区内にはお台場海浜公園にトライアスロンの競技場の設置が予定されているほか、宿泊施設や商業施設も多く、交通の利便性も高いことから世界中から多くの人々が訪れることと思われます。

 区内に住む多くの人々の間には、世界各国からお客様を迎える側として、さらなるバリアフリーの推進や、まちに対する美観といった意識の高まりが広がっており、電線類の地中化を望む声がこれまで以上に高まってきていると感じられます。こうした中、区は本年三月に、港区電線類地中化整備基本方針を改定し、平成三十五年を目途に、基本方針で示された優先整備路線の約十五キロについて電線類の地中化を目指すとしました。

 そこで質問ですが、実際に事業を進める場合は長期にわたる整備期間を要するものと思われます。このため、地域や沿道におられる住民の理解や協力も不可欠だと思いますが、ご理解を得るため、どのような体制で事業を推進しているのか伺います。

 また、電線類の地中化はまちに大きな利益をもたらすかわりに多額な費用を要することも事実です。工事費の削減に関する対応や対策についてのお考えをお伺いいたします。

 次に、地方税財源の拡充についてお尋ねいたします。

 国は、平成二十六年度税制改正において、地方法人特別税、地方法人特別譲与税を廃止しないだけでなく、地方の貴重な自主財源である法人住民税の国税化を新たに導入し、消費税率一〇%への引き上げ時には、法人住民税の国税化をさらに進めるとしています。これに先立つ平成二十四年九月に地方財政審議会に設けられた検討会は、平成二十五年十一月に地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書をまとめましたが、そこには地方法人課税のあり方等に関する基本的な認識について、次のようにまとめられております。

 「地方自治の原則は「税」であること、受益と負担の原則等から、偏在性が小さく税収が安定した地方税体系の構築が原則。その上でなお存在する地方団体間の財源の不均衡の調整は、地方交付税制度で対応することを原則」としています。その上で、地方法人課税のあり方等に関する見直しの方策について、「地方消費税率の引上げにより、不交付団体の財源超過額は拡大し、不交付団体と交付団体間の財政力格差が拡大することから、偏在是正のための措置が必要」。そして、「地方消費税の充実又は消費税に係る地方交付税法定率分の地方消費税化と、法人住民税法人税割の地方交付税原資化による税源交換を基本的な目標とすべき」。そして、「今回の税制抜本改革においては既に地方消費税の税率引上げが決定していることを踏まえ、法人住民税法人税割の一部の交付税原資化を図ることを検討すべき」などとまとめております。

 こうした措置は、地方税財源の拡充につながらず、地方自治そのものを妨げ、地方分権の流れに逆行するものであります。あわせて、来年度からは法人実効税率の引き下げも予定されており、地方税財政への影響が強く懸念されます。我が党は、「法人住民税の国税化は、自主財源である地方税を縮小することにほかならず、地方分権の流れに逆行する」との認識に立っております。すなわち、法人住民税の国税化には三つの問題点があるという立場です。

 一点目、法人住民税は都道府県だけでなく、区市町村を含む地方全体の貴重な自主財源であり、これを国税化することは、将来にわたり地方全体の財源自主権を弱めるものである。

 二点目、地方税の地方交付税原資化によって地方交付税への依存度が高まることは、自主財源である地方税の充実を図るという地方分権の考え方に大きく逆行するものである。また、法人住民税の国税化は、企業誘致などの地方自治体の税源涵養に向けた取り組みへの意欲を失わせるものである。

 三点目、地方交付税の総額の決定に対して地方は直接的に関与する機会がないことから、実際に地方交付税総額が増えるという保証はなく、将来的に地方の財源が国の財政再建に用いられるおそれがあるということです。

 また、法人事業税の暫定措置の問題点も三点挙げます。

 一点目、法人事業税の暫定措置は、法人が公共サービスの提供を受けている地方自治体とは関係なく税が配分されることから、地方税における応益性の原則に反する。

 二点目、地方が課税権を有する法人事業税を国が取り上げて再配分することは、企業誘致など地方自治体の地域活性化に向けたインセンティブを阻害するなど地方分権に逆行する。

 三点目、地方の意思を無視して国が一方的に制度設計したものであるということです。

 東京都や特別区のこれまでの動きを見ても、東京都は昨年十一月一日に、「『都市と地方の財政力格差是正論』への反論」と題して、法人事業税の暫定措置は、当初の約束どおり撤廃し、地方税として復元すべきこと、法人住民税を一部国税化して交付税原資とすることは、地方の自立につながらないことから反対を表明しております。

 特別区長会は、昨年十月三十一日に地方財源の拡充に関する要請書をまとめ、地方間の財源調整として創設された地方法人特別税及び地方法人特別譲与税のような対応は厳に慎まなければならないこと、法人住民税の一部を国税化し交付税化することは、地方税を充実するという地方分権の進展に逆行すること、そして、地方の財源拡充という本質的な問題に取り組むよう強く要請しています。

 港区には、住民の暮らしや企業活動を支えるため、急激に押し寄せる高齢化への対応や、高度成長期に全国に先駆けて建設された公共施設の維持・更新、防災力の強化、産業振興対策など、大都市特有の膨大な財政需要が存在しており、税収の多さのみに着目して、財政的に富裕であると断ずることはできません。地方自治体が責任を持って充実した住民サービスを提供していくためには、需要に見合う財源の確保が不可欠であり、地方財政が抱える巨額の財源不足という問題は、限られた地方税財源の中での調整では根本的な解決を図ることはできません。現在、特別区議長会においても、国に対し、地方税財源の拡充に関する要望書を提出しようとする動きも見られるところです。行政側においても、特別区の、ひいては港区の自主財源の確保に向け、国に対して意見を表明すべきだと考えますが、区長の考えをお伺いいたします。

 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のトライアスロン会場についてお伺いいたします。

 去る五月三十一日に国立競技場において、ファイナルイベントが開催されました。私自身も家族で訪れ、少年時代のヒーローの一人であったサッカーのプラティニ選手が放った幻のビューティフルゴール地点で息子二人とプラティニポーズをとり、国立競技場にお別れをしてまいりました。

 五十年前の東京オリンピックの際、開会式の会場として使われた国立競技場は、今、六年後の大会開催に向け新しく生まれ変わろうとしております。ファイナルイベントでは、五十年前を思い起こし、航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行が行われていました。もちろん私は五十年前のオリンピックをじかに体験しておりませんが、六機の編隊がスモークを引きながら華麗に飛んでいく雄姿を見て、この地で世界最大のスポーツの祭典が間近になっていることを実感しました。

 昨今、東京オリンピックを体験した方が東京オリンピックの体験について語られる機会が多々ございます。押しなべてその体験談は、私自身体験しておりませんので退屈極まるものでありますが、その方の貴重な人生の一ページになっていることは理解できます。

 私自身、北海道に生まれ、五歳で東京に参りました。東京に来て最初に驚いたのは、駅の改札で切符を切る駅員さんがいるということでした。昭和四十七年に行われた冬季札幌オリンピック開催のため、札幌の駅舎は全て自動改札であり、街はきれいに整備されておりました。札幌市内に住んでいた私は、整備された街並みと、電車の駅では自動改札しか見たことがなかったのです。はっきり記憶に残っているとはいえ、後にビデオで見た映像とも混濁しているのでしょうが、おぼろげに思い起こされる街中にたなびくオリンピックのマーク、熱気、サングラスをお召しになって御親覧あそばされる昭和天皇の圧倒的存在感。この思い出はオリンピック・パラリンピックの会場が地元に来るということの意味に思いをいたすには余りある思い出です。むろん新設される国立競技場も残念ながら港区ではありません。ですが、六年後の大会では、我が港区のお台場海浜公園がトライアスロンなどの会場に選ばれております。

 昨年の九月、東京開催が決定し、港区に競技会場が置かれることが決まったとき、多くの方々は感動に包まれました。未来を担う子どもたちにスポーツを通じた夢と希望、そして感動を与えられる、こうしたすばらしい祭典として多くの区民が期待を寄せております。ところが、このような機運に水を差す残念な動きがございます。先日、舛添東京都知事がトライアスロン会場の変更を示唆したのです。その理由は、羽田の航空管制空域と台場の水質に懸念があるからとのことです。

 航空管制については、日本の撮影技術で解決できるものであり、水質についても浄化に向け、港区をはじめ関係機関が積極的に取り組んでおります。特に、環境省も三十六億円の予算を投じて本格的な水質浄化に取り組もうとしている矢先でもあります。今回の舛添都知事の発言は、多くの区民の期待に背くものであって、これまで招致に取り組んできた多くの関係者の苦労を台なしにするものであり、トライアスロン会場変更の発言は到底許容できるものではありません。

 今月の一日には、東京都が整備する十会場について、変更の検討がされつつも、有明アリーナなど三会場については当初予定どおり設置することが決まったとの報道がありました。港区のトライアスロン会場についても、一日も早く区民の心配を解消し、当初予定どおりの開催が決まることを願っておりますが、そのためにも関係競技団体や区が一体となって取り組んでいく必要があると考えますが、トライアスロン会場の変更について、区長のお考えをお聞かせください。

 次に、高齢者人口増加に伴う施策についてお伺いいたします。

 平成二十六年七月二十八日の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針の改正(案)の中で、改めて国は、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年度を目途に、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことを可能にしていくためには、十分な介護サービスの確保にとどまらず、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムを各地域の実情に応じて構築していく必要があるとしております。

 港区はこれまでも、特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護施設等の計画的な整備、介護予防事業や認知症施策の充実、在宅生活を支えるさまざまな高齢者福祉サービスの実施などに取り組み、地域包括ケアシステムの構築を着実に進めてこられたと思います。

 一方で、港区の六十五歳以上の高齢者人口は、現在の約四万千三百人から平成三十三年には約四万五千二百人と増加する見込みで、その後も増加傾向が続くものと推計されております。今後の高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者やひとり暮らし高齢者の増加も予想されており、さらに現在、何らかの認知症の症状がある区内の高齢者は約四千人、高齢者人口の約一割に上り、後期高齢者人口や要介護認定者の増加に伴い、その割合はさらに高まることが想定されます。

 認知症の方の場合、時間感覚や季節感が薄れることから、昼夜逆転して夜中に起きてきたり、幾度もきょうは何日なのかと質問するようなことも起こり、介護されている家族の方が困ってしまっている。また、日常的な食事の準備や掃除、金銭管理についても支援が必要な場合もあります。

 平成二十六年三月の港区保健福祉基礎調査の結果では、高齢者の約七割の方はできるだけ現在の住まいに住み続けることを希望し、八割以上の方は港区に住み続けることを希望されており、地域での生活の継続を望んでおられます。今後、さらに増加が想定される認知症の方が、それぞれの状態に応じ、在宅生活において適切な医療・福祉・介護の支援を受けることができ、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるようにするため、これまで以上に認知症施策を充実させていく必要があると考えます。そこで、今後の区の認知症対策への取り組みについてお伺いいたします。

 また、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるようにするため、認知症施策や介護予防の推進をはじめ、在宅生活を支えるさまざまな高齢者施策の充実とあわせて、介護保険施設等の整備についてもしっかり考えていくことが重要です。区では、これまでも特別養護老人ホームの計画的な整備や既存施設の増床等を計画されてきました。さらに在宅介護を支える施設として、小規模多機能型居宅介護施設を平成二十四年にありすの杜きのこ南麻布に開設し、今後、平成二十八年度に高輪一丁目、平成二十九年度に赤坂九丁目にて整備が計画されております。また、安心して住み続けられる住まいの確保の観点から、平成二十九年度にシティハイツ六本木併設のサービス付き高齢者向け住宅の整備も予定されております。

 今後、高齢者人口が増加していく中で、在宅生活を支える小規模多機能型居宅介護施設や、サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム等の整備の促進が必要です。一方で、特に後期高齢者人口の増加が推計されており、施設入所の必要性が高い要介護認定者が増えていくものと想定され、在宅生活が難しい方への支援として、特別養護老人ホームの整備についても検討していく必要があると考えます。特別養護老人ホームの整備については、在宅介護を支える小規模多機能型居宅介護施設の整備状況、介護保険会計への影響等、さまざまな角度からの検討が必要であり、今後、新たな特別養護老人ホームの整備について検討していくべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 次に、災害に強い街づくりについてお伺いいたします。

 平成二十三年三月に発生した東日本大震災をはじめとし、ここ数年、台風による大雨や竜巻など、さまざまな自然災害が頻繁に発生しております。ことしに入ってからも、たび重なる台風や前線の影響による大雨で全国的に被害が発生しております。先月十九日からの大雨により、二十日未明、広島市安佐南区を中心に発生した土砂崩れによって七十三名の尊い命が失われ、いまだ一名が行方不明であるなど、深刻な被害が発生しております。

 都内では幸いなことにことしに入ってからは、これら自然災害による人命にかかわる被害は発生しておりませんが、港区では過去に、平成十一年の集中豪雨により古川が溢水したり、平成十六年には台風の影響により地下鉄南北線麻布十番駅が浸水するなど、一歩間違うと人命にかかわるような水害が発生した経緯があります。また、東京都の調査によると、平成二十四年九月一日現在、区内には急傾斜地崩壊危険箇所が百十八カ所あるということからも、決して他人事ではなく、油断してはならないと思います。

 災害は、いつ何時発生するかわかりません。だからこそ、日ごろから災害に対する備えを区民、事業者、行政がそれぞれの立場で行う必要があると考えます。区民は、防災に関する知識の習得や建物の耐震化や不燃化、物資の備蓄など、防災性の向上に対する取り組みを実施すること。事業者は、建物の耐震化・不燃化対策にあわせ、災害発生後の帰宅困難者の受け入れ、開発事業等の実施においては、積極的に防災機能の向上に努めること。港区ではこれまでも、赤坂や六本木をはじめとして、民間による大規模な再開発が行われてきました。これら大規模な再開発では、再開発前は老朽化した建築物が多く、災害に脆弱であった区域が、再開発後は地震に強い建築物に建て替えられ、敷地内には防災広場機能をあわせ持つオープンスペースを設置するなど、災害に強い街づくりに大いに貢献してきました。今後も、事業者には防災機能の向上に向けた対策に期待するものです。そして、最後に区ですが、区民、事業者と協力し、地震にも水害にも強い街づくりに向けた取り組みを積極的に行っていく必要があるのではないでしょうか。誰もが安心して住み続けられる災害に強い街づくりについて、改めまして区長のお考えをお伺いいたします。

 次に、JR新駅と周辺が一体となったまちづくりについてお尋ねいたします。

 本年六月、JR東日本は、田町駅から品川駅間に新駅を設置するとともに、地域と連携しながら、従来の発想にとらわれない国際的に魅力ある交流拠点の創出を図るとし、その特徴として、駅とまちが一体となった象徴的なにぎわい空間を発表いたしました。

 また、東京都は、品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインの改定案を七月に発表し、品川駅・田町駅周辺地域の都市基盤のあり方や品川駅北周辺地区など四つの地区を優先整備地区として位置づけ、まちづくりの方針を示しました。ガイドラインの改定案では、品川駅・田町駅周辺地域を、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点とするため、将来像として、「国内外のビジネスパーソンの活力にあふれる最も進んだビジネスのまち」、「世界の人々が集い交わる文化・知の交流のまち」、そして、「世界に向けた次世代型の環境都市づくりを実現するまち」の三つが挙げられております。

 具体的には、JR新駅の整備や品川駅の再編と、それに伴う駅前広場の整備などについて方向性が示されております。報道によると、JR新駅は、オリンピック・パラリンピックの開催にあわせた二〇二〇年に暫定的に開業、リニア中央新幹線駅は二〇二七年の開業を目指し計画が進められており、JR新駅や車両基地の跡地を含むエリアでは、先行的にまちづくりが進められる予定とのことです。このような新たなまちづくりの機運に対し、新聞やテレビ等でさまざまな報道が飛び交っております。地域の皆様はこうした報道に注目し、現在お住まいのまちがどのように変化するのか、期待とともに不安を感じておられるのが実情ではないかと思います。今後、JR新駅と周辺が一体となったまちづくりが、地域の課題を解決するとともに地域のにぎわいを創出する計画となるためには、地域の皆さんへの情報提供と意見交換を行う場が必要と考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。

 次に、婚姻歴のないひとり親世帯への寡婦(夫)控除のみなし適用についてお伺いいたします。

 港区は、子育て支援策に重点的に取り組んでおりますが、今後もさらなる充実を図るためには、子どもの貧困対策の推進に関する法律の施行などの社会情勢を踏まえ、子育てに係る経済的な負担の軽減が必要な人に対して、支援の手を差し伸べることが重要です。

 さきの第二回定例会において、我が会派のゆうき議員から、婚姻歴のないひとり親世帯への寡婦(夫)控除のみなし適用について代表質問を行ったところ、区長から、みなし適用の導入について検討しているとの答弁がありました。婚姻までに事故など何らかの理由によって婚姻歴のないひとり親となった方には、現在、税法上の寡婦(夫)控除が適用されておりません。そのため、婚姻歴の有無によって子育てに係る保育料などの負担に差が生じております。

 しかしながら、ひとり親で子どもを抱え子育てをしている事実は、婚姻歴がある場合もない場合も同じであります。このため、ひとり親世帯の置かれている経済的状況の厳しさの観点から、港区として、婚姻歴のないひとり親世帯で経済的な負担が重くのしかかる人に対して支援策を講じるため、税法上の寡婦(夫)控除があるものとみなすべきと考えます。そこで、婚姻歴のないひとり親世帯への寡婦(夫)控除のみなし適用について、港区における検討の状況と今後の予定について、区長の考えをお伺いいたします。

 最後に、一般財団法人港区国際交流協会についてお伺いいたします。

 平成二年に、区は、現見上良也理事長を座長として、国際交流団体発足のための懇談会を立ち上げ、二年間の検討を経て、平成四年七月、国際交流を進める港区の外郭団体として、港区国際交流協会がスタートしました。発足にあたっては、百五十カ国以上に渡航したことでも知られる国際感覚にすぐれた兼高かおるさんが会長に就任しました。現在も会長職を続けていらっしゃいます。

 港区国際交流協会は、現在まで二十二年の長きにわたって協会会員のボランティアを母体として、大使館事業実施協力支援、北京市朝陽区書画交流展などの区役所サポート事業、また、自主事業として、国別紹介、通訳・翻訳活動、日本語・スペイン語・中国語の語学講座、通訳養成講座、さらにニューイヤーパーティー、国際交流バスハイク等の各種イベント、そして、外国人相談などの外国人支援活動を通じて国際交流を促進するとともに、多文化社会の実現を目指して各種の取り組みを続けております。

 平成二十年二月には、区役所八階から都営北青山一丁目アパート三号棟地下一階に移転。それから六年がたちました。移転後は、事務室、集会室、国際交流スペースなどの施設の管理運営をしながら、各種のイベントや事業を実施しております。しかしながら、現在の施設は、青山一丁目駅から徒歩六分と比較的至便ではありますが、土地勘のない方にはわかりにくい場所にあり、また、都営住宅自体が老朽化しており、日本人と外国人が集い、交流する場所としては課題があると言えます。

 このような状況を改善するため、訪日外国人旅行者数二千万人を目指す観光庁のビジット・ジャパン事業や二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、港区国際交流協会は自立した区のパートナーとして力が発揮できるよう、事業の充実等を図りながら、国際交流をするにふさわしい場所の確保に向けても取り組みを進めるべきだと考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。

 以上にて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

  〔区長(武井雅昭君)登壇〕



◯区長(武井雅昭君)

 ただいまの自民党議員団を代表しての赤坂大輔議員のご質問に順次お答えいたします。

 最初に、拉致問題についてのお尋ねです。

 拉致問題は、重大な人権問題であるとともに、我が国の国家主権及び国民の生命と安全にかかわる国民的課題であると考えております。区では、広報みなとの人権特集号や拉致問題啓発ポスターの掲載などを通じて、北朝鮮による人権侵害問題への理解と関心を深めるよう働きかけてまいりました。

 本年は、十月十五日から二十九日までの期間に高輪区民センターで実施する人権啓発パネル展において「北朝鮮による拉致問題」に関する展示も行います。

 特定失踪者とされる元港区職員の生島孝子さんにつきましては、引き続き捜査機関による失踪の解明を見守るとともに、区民一人ひとりが拉致問題を自分自身の問題として考え、問題解決に向けた大きな力となるよう、啓発活動に取り組んでまいります。

 次に、プレーパークについてのお尋ねです。

 まず、現在の状況についてです。区は、平成二十三年三月に策定した「プレーパークの基本的考え方について」の中で、プレーパーク事業について、第一段階は住民による自主運営の準備、第二段階は住民組織の立ち上げ、第三段階として住民組織による自主的な事業の運営とする事業目標を示しております。平成二十六年一月に事業をサポートする住民組織が立ち上がったことから、区は現在、第二段階に入ったものと考えております。

 次に、今後の事業の方向性についてのお尋ねです。

 プレーパーク事業は、子どもたちの身近な場所で、いつでも開設していることが望ましいことから、最終目標を住民組織による自主的な運営としております。今後区は、住民組織が独自にプレーパーク事業を担えるよう、組織の育成と拡充を支援するとともに、住民組織の事業の実施をバックアップするために、NPOや児童館などによるサポート体制を整えてまいります。

 次に、電線類地中化についてのお尋ねです。

 まず、事業の推進体制についてです。電線類地中化は、電線管の埋設に支障となるガス管や水道管などを移設する工事から、電線管を埋設した後の道路復旧を兼ねた道路整備工事まで、最低でも四年以上の工期を要する事業となります。このため、区は、事業に対するご理解とご協力をいただき、円滑に地中化を推進するため、地域や沿道の住民の皆さんで構成する地元連絡協議会を設置して、事業を推進しております。

 次に、事業費の削減策についてのお尋ねです。

 国土交通省が平成十九年度に発表した試算では、電線類の地中化に必要な概算工事費は、一キロメートル当たり約五億六千万円となっております。このため、区は、都市計画道路事業との同時施行や複数路線を含む面的な整備、さらには電力事業者などが保有する既存管路を活用した整備手法など、効率的かつ経済的な手法により事業費の削減に努めております。今後も、国や東京都に対し事業に対する交付金の安定的、継続的な財源確保を要望するとともに、新しい技術や手法を積極的に導入し、工期短縮や工程の見直しなどにより、さらなる事業費の削減に取り組んでまいります。

 次に、地方税財源の拡充についてのお尋ねです。

 法人住民税の一部を国税化し、地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の根本原則である受益と負担の関係をゆがめるものであると考えております。特別区長会では、昨年来、特別区が抱える膨大な行政需要や喫緊の課題を明らかにし、地方税財源の必要性を主張しております。

 また、現在、税源偏在是正議論についての特別区のさらなる主張を、特別区長会でまとめているところです。区は今後も、特別区長会を通して、東京都とも連携し、国に対して国の責任において各地方自治体の必要な財源を確保する方策を講じるよう、要請してまいります。

 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のトライアスロン競技会場についてのお尋ねです。

 トライアスロンなどの競技会場として港区のお台場海浜公園が選ばれたことで、多くの区民が喜び、そして楽しみにしているところです。区は、世界中から訪れる方々が安全で安心して大会を楽しんでいただけるよう、区民の皆さんと一丸となって、おもてなしの心を育てるとともに、これまで進めてきた安全・安心なまちづくりの一層の強化に取り組んでおります。

 このように多くの区民の皆さんが期待を寄せている中での、七月二十九日の東京都知事の発言は、大変残念なことであり、区は、直ちに東京都の所管部局に状況を確認するとともに、当初の予定どおりお台場海浜公園を競技会場とするよう、八月十二日に大会組織委員会会長及び東京都知事宛てに要望書を提出いたしました。今後も区は、競技会場を抱える自治体としての責任を果たしていくとともに、お台場海浜公園での競技の実現に向け、関係団体と協力しながら全力で取り組んでまいります。

 次に、高齢者人口の増加に伴う施策についてのお尋ねです。

 まず、認知症対策の取り組みについてです。区は現在、認知症の予防や早期発見のため、認知症の人やその家族が、医療・介護・福祉の支援につながる場として、みんなとオレンジカフェを四カ所で実施しております。また、ウォーキングなどの認知症予防事業や徘徊行動のある認知症の人のための探索サービス等を実施しております。今後、さらに、認知症の方やその家族が住み慣れた地域で日常生活を継続することができるよう、医療、介護の連携強化策や、認知症サポーターが地域の見守りボランティアとして活動できる仕組みづくりなどを検討し、認知症対策の充実に取り組んでまいります。

 次に、新たな特別養護老人ホームの整備についてのお尋ねです。

 区は、これまで特別養護老人ホームを計画的に整備をしてまいりました。さらに、入所申込者数の増加を見込み、既存施設の特別養護老人ホームありすの杜きのこ南麻布において、平成二十七年四月に十八床を増床する予定です。これにより、引き続き優先度の高い要介護四、五の申込者の多くの方が、おおむね一年以内に入所できる状況です。今後は、高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者数の伸びも見込まれます。特別養護老人ホームの入所申込者数等の動向を見極め、さらなる施設整備も視野に入れながら、現在、策定を進めております港区高齢者保健福祉計画策定の中で検討してまいります。

 次に、災害に強い街づくりについてのお尋ねです。

 区は、東日本大震災発生後の防災街づくりに対する区民ニーズの高まりや、水害リスクの高まりなどを背景として、平成二十五年三月に災害に強い街づくりを推進するため、港区防災街づくり整備指針を策定いたしました。既に取り組んできた耐震改修工事の費用助成などに加え、指針策定後は、新たに細街路拡幅整備の費用助成、津波、液状化などのハザードマップの区内全戸配布など、防災街づくりの取り組みを進めてまいりました。今後も、この指針に基づき、区民や事業者の皆さんと連携・協力して、安全で安心して住み続けられる災害に強い街づくりの取り組みを積極的に推進してまいります。

 次に、JR新駅と周辺が一体となったまちづくりについてのお尋ねです。

 現在、東京都で改定を進めている品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドラインでは、将来像として、「これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点・品川」が掲げられるとともに、新駅の設置や環状四号線等の整備が位置づけられています。

 将来像の実現に向けては、国、東京都、区、JR東日本や京浜急行等の各事業者の連携と地域の皆さんの理解と協力が必要です。区は、今年度を目途に、協議会など、地域の皆さんへの情報提供や意見交換ができる場を設け、地域の課題の解決に取り組むことで、区民が安全で安心、快適に住み続けられるまちづくりの実現を目指してまいります。

 次に、婚姻歴のないひとり親世帯への寡婦(夫)控除のみなし適用についてのお尋ねです。

 次世代を担う子どもの健全育成の観点から、婚姻歴のないひとり親世帯における保護者の経済的負担の軽減や、子育て支援を一層推進することを目的として、寡婦(夫)控除のみなし適用について、子ども・子育て支援新制度の開始にあわせて、平成二十七年四月実施に向け準備を進めてまいります。

 最後に、港区国際交流協会についてのお尋ねです。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた国際化の一層の推進には、区と国際交流協会の連携が不可欠です。そして、国際交流協会が、多様な外国人のニーズに対し、柔軟できめ細かい情報提供や、通訳などを効率的・効果的に行うためには自立化が必要です。このため、区は、本年度から三年間、事務局体制の強化や事業の充実に必要な支援を集中的に実施しております。三年後を見据え、国際交流協会の活動が円滑に実施できるよう、今後、国際交流協会と意見交換をしてまいります。

 よろしくご理解のほどお願いいたします。