平成24年第4回定例会 代表質問
要旨
1 子供が伸び伸びと大人の制約を受けずに遊べる公園の増設を切に望む
プレーパークについて
- ア 高輪森の公園とプラタナス公園の2カ所で本格実施されているプレーパークに対する評価について
- イ 今後の増設要望と展開について
2 子供が安全に通学できるよう通学路点検は喫緊の課題だ
- ア 合同点検においてどのような課題が指摘され、そのように対応、改善されたのか
- イ 国道、都道を管理する国、東京都に対し、通り一辺倒の要請ではなく、補修等の期限を設けるなど詳細な対応策を求めよ。
3 世界に冠たる日本に住まう日本人としての誇り高き資質、知的感受性、美的情緒、教養の醸成について
未来を担う子供たちへの教育が最根幹だ。
4 区役所・支所改革について
- ア 職員の意識等の改革について
- イ 区全体を俯瞰した商店街振興における産業振興課の役割について
5 防災について
- ア 現在見直し中の「港区地域防災計画」について
- イ どのようなスケジュールで区民に示すのか。
6 環境について
港区地球温暖化対策地域推進計画の改定について
7 その他
全文
議長
日程第四を議題といたします。区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。十七番赤坂大輔議員。
〔十七番(赤坂大輔君)登壇、拍手〕
(赤坂大輔君)
平成二十四年第四回港区議会定例会にあたり、自民党議員団を代表しまして、区長並びに教育長に質問させていただきます。
冒頭、神勅を宣ります。豊葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。宜しく爾皇孫、就きて治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壤と窮り無かるべきものぞ。
我々自民党は保守政党であることを標榜しております。この神勅を奉じて、我々は、いよいよ差し迫る、この政権奪還をかけた選挙におきまして、真っ向、民主党、そして第三極を迎え撃つことをここに宣言して、質問を開始いたします。
我々が保守するものは伝統であります。すなわち、日本人が長い歴史を通じて培い、伝えてきた風習の中心をなす精神的あり方であります。異国でありますが、英国の保守主義者エドマンド・バークは、「フランス革命の省察」において以下のように述べております。「国家は、現に生存している者の間の組合にとどまらず、既に亡くなった者、はたまた将来、生を受ける者の間の組合となる。それゆえ国家や法を一時的に所有しているにすぎない現在を生きている我々が、祖先から受け取ったものや、将来子孫に属するべきものを忘れて、あたかも自分たちこそが完全な主人であるかのごとくに行為することがあってはならない」。すなわち、バークは、国家を垂直的、すなわち過去から未来へとつながる時間を貫く共同体とみなし、現代を過去、未来と離して考えることの姿勢を厳に戒めているわけであります。これは現在の日本に最も欠けている感覚であるとさえ私は思っております。
先人が築き上げてきた伝統を壊すことに慎重でなければなりません。伝統は歴史と知恵が含まれているからこそ、長期間存続しているわけであります。歴史という長い時間の試行錯誤を参考にしながら、歴史の経験に学んで、善悪、美醜、真偽を見出すことが大切であります。祖先を顧みない者は、子孫に思いをいたすことすらないとは、しばしば歴史が証明するとおり。いずれにしましても、伝統を我々の代で途切れさせてよいのかという議論を、多くの国民が理解できていないという現状が実態であります。
我々は、実生活における差別、不平等、人権侵害には断固反対しますが、しかしながら、いにしえより続いている伝統、芸能、祭事、文化、儀礼などにおいては、守ってきた形態を現代の時代に合わせて変える必要はないと考えております。儀礼は、どの社会においても、その社会の文化とは密接に結びついた表現を持っていますが、それを行う社会の状態はいつも同じというわけにはいきません。時には儀礼のあらわす文化と社会の実態とが乖離してしまうこともあるでしょう。伝統とされるものを、何もかも全て社会変化に合わせてよいのか。伝統というジャンルに関しましては、芸能であれ、工芸であれ、現代の考え方や様式に合わせていじる必要はないと思っております。それは、当時の文化が継承されているものであり、もとより現在の考え方、様式に合うはずがないのです。それが伝統であり、文化であり、現代的価値観を最も当てはめてはならないものであります。
伝統文化に「現代」というメスを入れようとするならば、相当な覚悟と明確な理由が必要であり、そして、それ以前に、部外者が伝統文化の「核」に触れることへの畏怖があってしかるべきでありましょう。また、伝統とされるものは、どの国であろうと、日本以外の新しい国であろうと、グローバルスタンダードを最も避けるべきものであります。伝統は民族の血や風土が育て伝えてきたものであり、「グローバルスタンダード」なる流行の造語による「世界基準」を回避すべき最たるものであります。自国の文化や伝統、すなわちネイティブな事象に対しスタンダード、つまり、標準を導入するということは、語るだにおぞましきまがまがしい所為であります。何を保守し、何を改革するか。ここを再び間違えれば、我々自民党の将来はありません。自民党が生まれ変わったのか、変わっていないのか。所属している私自身、大いに注目してまいる所存であります。
第一に、プレーパークについてお伺いいたします。
我々が夢を託すべき子どもたちを取り巻く環境についてであります。大人の大人による大人のための利便性のもとで、子どもたちのための空間がありません。大人の目線による大人にとっての快適な子どもの遊び場ばかりで、本来遊びの天才であるはずの子どもたちがかわいそうでなりません。我が国では、少子化、働く母親の増加により、子どもたちが自主的に集う機会が奪われ、かつ、都市化の進展により、子どもたちの遊び環境がますます悪化しております。子どもを最優先にしない社会に未来はありません。
ことしの予算特別委員会におきまして、私は、「子どもの遊びに必須の条件は、大人がその場所にいてはいけないということだ」と述べました。その結論にいささかの間違いもないと自負しております。しかしながら、周りを見渡せば、大人が子どもに遊びを押しつける公園、完成された既製の遊具を決まった使い方で遊ぶだけの公園が目立ちます。大人の管理の都合や一方的な価値観だけで決められたルールも多く、子どもの側からすれば、思い切り遊べる遊びの環境は、ほぼなくなってしまっているのが現状です。
プレーパークは冒険遊び場とも呼ばれ、発祥の地はヨーロッパです。子どもは整備された公園よりも、廃材置き場のようなところで楽しく遊んでいるという一人の造園家の発見がきっかけでした。プレーパークは、子どもが伸び伸びと思い切り遊べるように禁止事項を少なくし、自分の責任で自由に遊ぶことを大切にして、子どもが廃材、自然素材を使って自分のしたいことに挑戦し、実現していく場であり、遊びを通して豊かに育つことを支えていく経験の場でもあります。
現在、プレーパークは全国各地に広がり二百カ所以上ともなり、その多くが地域住民や行政が連携して運営しています。このような状況の中、港区においても平成二十二年度に白金台どんぐり児童遊園、高輪森の公園で体験プレーパークを実施し、区内でのプレーパークの認知度、必要性、運営への参加意欲について確認した上で、平成二十三年度から高輪森の公園とプラタナス公園の二カ所で本格的に実施されています。大変喜ばしいことです。
高輪森の公園では、斜面を最大限に利用した遊びとして、ロープを使った斜面登りやモンキーブリッジ、段ボールとブルーシートを使った斜面滑りなどが行われております。また、プラタナス公園では、芝生の広い空間を生かした遊びとして、ロープを使った電車ごっこ、段ボールを使った家づくり、新聞紙を使ったサッカーボールでのドリブルなどが行われております。それぞれの公園の特徴を生かし、ふだんできない遊びに夢中になる子どもたちの生き生きとした姿を見ていると、二つの相まった感情が湧き起こります。すなわち、感性豊かな子どもたちの遊び場を奪い、中年を過ぎてもなお、おのれの夢の実現に奔走する身勝手な大人への憤り、そして、プレーパークに強く賛同する思いであります。
そこで質問ですが、平成二十三年度、二十四年度の二年にわたり、高輪森の公園とプラタナス公園の二カ所で本格的に実施されているプレーパークに対する評価についてお伺いいたします。
プレーパークは、発生するトラブルを日々解決しながら活動し続ける住民の存在なしに継続していくことは困難であり、行政だけの管理運営では規制ばかり増えてしまい、遊び場としての魅力が乏しくなってしまいます。子どものけがなどに対する管理者責任や遊具等の製造物責任が問われる時代ですが、それらにより子どもの遊びの環境が過度に制約されている現実に目を向け、公園などにおける安全や危険に対する私たち大人の認識をもう一度見直し、子どもにとっての魅力的な遊び場をつくる必要があります。
また、安全性の観点から、幼児から年長までの発達段階に合わせて遊びを分けることも必要ですが、その一方で、年齢が異なる子どもが一緒に遊べる場も必要です。低年齢の子どもは年長の子どもの遊びを見ることで多くの刺激を受けます。また、年長の子どもは年下の子どもと触れ合うことで思いやりや我慢することなどを学びます。また、常に挑戦できるような空間や仕掛けをつくることは、子どもの好奇心を高め、創造性や自主性を伸ばし、危険を回避する知恵をつけ、生きていくために必要な力を身につけるのに大いに資すると思われます。
危ないから、汚れるから、うるさいからといって大人は子どもの貴重な体験を奪ってはいないでしょうか。かつて、自分が子どもだったころを思い出し、子どもにとって本当に必要な経験は何かを考える必要があります。このような視点を反映し、プレーパークを継続的に実施していくためには、地域住民の参画によるボランティアと区のバックアップによるお互いのパートナーシップが不可欠なため、プレーパークの実施箇所や実施回数等を増やしていくことで、地域の大人たちの理解と参画を得ながら運営していく必要があります。
そこで質問ですが、今後、プレーパークをどのように展開していくのかお伺いいたします。
次に、通学路点検についてお伺いいたします。
本年四月、京都府亀岡市において、少年による無免許運転の軽自動車が集団登校中の児童と保護者の列に突っ込み、三人が死亡、七人が重軽傷を負う事故が発生しました。その後も千葉県館山市や愛知県岡崎市などで通学途中の児童を襲った同様の交通事故が起きています。
こうした事態を受けて、文部科学省と国土交通省、警察庁の三省庁が連携して対応策を検討し、通学路における緊急合同点検等実施要領を作成しました。その中で、ことし八月末までに、この実施要領に沿って関係機関が連携して通学路の安全対策を講じるよう、教育委員会を通じて全国の小学校に要請しております。特に学校、保護者、道路管理者及び地元警察署による合同点検の実施状況等については、文部科学省に報告するよう依頼があったと伺っております。
我が会派におきましても、平成二十五年度の予算要望に関しまして、「繁華街などへの青色パトのきめ細やかな巡回等、子どもの安全確保策の充実」を要望しているところです。
以上のことを踏まえ、教育長にお伺いいたします。その通学路における緊急合同点検等実施要領による合同点検においてどのような課題が指摘され、そして、それに対し、どのように対応、改善されたのでしょうか。お伺いいたします。
港区では、小学校において、PTAや教育委員会とともに、春と秋の交通安全運動に合わせ、毎年二回、町会・自治会、警察署、総合支所と連携して、保護者や地域、交通管理者など、さまざまな視点から通学路点検を実施しています。土木係など地域を熟知している総合支所が通学路点検に参加していることは大変重要な意義があります。
私の地元、赤坂地域におきましても、赤坂地区総合支所のまちづくり担当課長らの尽力により、通学に危険な箇所の改善が不断になされております。また、通学路点検実施後は、改善を要する箇所について、道路管理者や警察等の関係機関と協議するとともに、各学校では、道路を横断する際の安全確認の方法や、夕方及び夜間時、雨天時の歩行、安全な自転車の利用等について繰り返し指導し、あわせて児童、保護者に危険箇所の周知徹底を図るなど、子どもたちの安全の確保に努めていただいていることは心強い限りです。
しかし、一方では、関係機関と協議はするものの、なかなか改善まで結びついていない危険箇所もあると聞いています。子どもたちの生命・身体の安全にかかわる問題ですから、早急な対策が必要であると考えます。つきましては、国道や都道を管理する国及び東京都に対し、通り一辺倒の要請という形ではなく、具体的な危険個所に対して補修等の期限を設けるなど、詳細な対応策を求めることが必要であると思いますが、教育長のご見解をお伺いいたします。
次に、日本人としての誇り高き資質、教養の育成についてお伺いいたします。
国家公式見解では、日本における最長の伝統とは、言うまでもなく、国家公式見解上、二六七二年、百二十五代連綿たる万世一系の男系継承たる皇統でありますが、世界の方々が最も関心を抱くこの世界最長の伝統について、当の日本国民の約七割がこの最根幹事項をいまだに理解できていないという大変嘆かわしい事態が現出され続けております。現存する世界百九十二カ国の中で日本は最も歴史が古く、政体こそ幾度の変遷を経つつも、他国とは違い、文化を破壊する王朝交代を経験することがなかったゆえに、国体が一貫して継続しており、その結果、最も幅広く、最も奥深い文化を持っていることを子どもたちは認識しているのでしょうか。
フランスの文化人類学者レヴィ・ストロースの言葉をまつまでもなく、「神話から続いている国」とは、すなわち皇室と祭祀と言語のことであることは言うまでもありません。日本語は現存する世界の国々において、最も古くより使用されている言語であり、漢字、平仮名、片仮名の三種類の文字が有機的に機能し、かつ、文字の羅列にとどまらず視覚にも訴えるという希有な多元的文字伝統を誇っております。このような歴史と多様性を有するがゆえに情感が豊かに養われ、俳諧などの文化を生み出したばかりか、何といっても神代に通ずる世界最古の誇るべき言語なのだという認識が、果たして子どもたちにしっかりと教えられているのでしょうか。
つけ加えますと、これほどまでに古い言語を一様に一億人以上が話している国家は世界では皆無であります。人間はその語彙、すなわちボキャブラリーを大きく超えて感じたり、考えたりすることはできません。母国語の語彙は思考であり、情緒なのです。日本語を話すがゆえに、我々は世界で最も情緒、情感がすぐれているという実態は言うまでもありません。
十三世紀まで、おおよそ万葉集、古今集、源氏物語、方丈記、徒然草などなど、世界に冠たる作品文化が完成していた文学は今さら言うに及ばず、世界に誇る普遍的価値を持つ華道、茶道、書道、能、狂言、歌舞伎、相撲、柔道、剣道などなど、そして、例えば音楽文化。千六百年の歴史を積み上げた立ち居振る舞い、楽器、言葉、衣装に至るまで洗練され尽くした雅楽こそが最高の音楽であるという世界の評価。つけ加えましたら、日本で言えば、江戸時代に始まった欧米のクラシック音楽は、歴史的には雅楽に比してポピュラーミュージックの類いでしかなく、本来クラシック音楽と呼ばれるべきは日本の雅楽だけであるという圧倒的事実。例えば食文化、懐石料理、大衆料理、居酒屋、焼き鳥屋、すし、てんぷら、そば、うどん、たこ焼き、もんじゃ焼き、牛丼などはそれぞれの専門店があるという豊富な食文化を誇る以上、ミシュランなんぞに格付けされるいわれはないわけであります。
そもそも世界人類で最初に煮炊き、すなわち調理したのは日本人でありますことは、約一万七千年前の世界最古の土器である青森県の大平山元I遺跡出土土器によって明らかともなり、世界最初に酒を飲み交わしたのも日本人であったことも事実であります。欧米諸国がけものを捕らえて生肉を食していた時分に、我々の先祖は酒と焼き肉を楽しんでいたわけであります。
また、日本史ではなくて国史という名称に断固としてすべきだと思っておりますが、どこの国であれ、国の歴史教育は建国の神話から始まります。日本では建国の経緯、神話が歴史教科書に記されておらず、何と地質学、考古学から展開されているという極めて特異なものを使用しております。これは日本人に生まれたからには日本とは何かを教わる権利を子どもから奪っているという万死に値する罪であると言えましょう。日本人として生まれながらも、日本がどのようにして建国したかを知らない。さらに有史以前の言語が現在に存続している現存唯一の古代国家が日本であるということを知らない大人が英語を学ぼうと騒いでいる。これほど不幸なことはありません。
このような嘆かわしい現状の中で、世界に冠たる日本に住まう日本人としての誇り高き資質、知的感受性、美的情緒、教養を醸成するためにも、未来を担う子どもたちへの教育が最根幹であると考えますが、教育長のご見解をお伺いいたします。
次に、区役所・支所改革についてお伺いいたします。
世の中を見回してみると、「改革」という言葉があふれております。選挙制度改革、社会保障と税の一体改革、年金改革、地方分権改革などなど、いかに改革を必要とする制度や仕組みが多くあるのかを物語っているようです。
「改革」を広辞苑で引くと、「改めかえること」「改まりかわること」と書かれています。つまり、現状を転換させる、今までと違ったものに変えるということにほかならないわけですが、改革と銘打っておきながら、達成できた事例を寡聞にして存じません。改革を実行する際には、一方で痛みを伴うことがしばしばであります。現状で満足する者にとっては迷惑な話であり、改革を実行する者は、痛みや抵抗を排してでもなし遂げる気概と覚悟が必要になるのです。
さて、港区では、武井区長の強いリーダーシップのもと、平成十八年四月に区役所・支所改革を実行しました。単に区役所を便利にします、支所を強化しますというキャッチフレーズにせず、これまでの区役所や支所を「改革」すると表現したところに、区長の並々ならぬ意気込みが感じられます。
私は、区役所・支所改革が成功するためには、何よりも実際に業務を担っている職員の理解が必要であり、その意識、姿勢が成功の鍵を握っていると考えています。平成十年、区は、部の数を減らすという大幅な組織機構の再編を行いました。簡素で効率的な事務の執行は、とりもなおさず集中化という方向が一つの答えになるだろうと思います。実際に他の自治体の状況を見たときに、出張所や支所を廃止し、本庁に集約することにより業務の効率化を目指している自治体が多くあります。港区の職員もそのような考え方が定着しているのではないでしょうか。区役所・支所改革は、一見すると非効率的なものに映ると思いますが、区長は、この七年間、どのようにして職員の考え方、姿勢を転換させてきたのか。そして、今後さらなる区役所・支所改革を進めていく上で、どのように対応していくのかお伺いいたします。
もう一つ、区役所・支所改革を成功させるためには、総合支所を中心にしつつも、支援部の役割を十分に発揮させることが欠かせないと考えます。先般、区が策定した平成二十五年度区役所・支所改革の充実策では、総合支所で取り扱う業務を充実させることが打ち出されており、このメニューの中に商店街振興に関するものが含まれております。商店街は、区民の交流を促進する地域コミュニティの拠点としての役割を担っております。だからこそ、これまで区は、商店街に対しさまざまな補助や支援を行ってきたのであり、補助の中には東京都によるものも含まれていますが、これまで産業振興課を中心に円滑な対応がなされてきています。商店街も地域に根ざした存在であることから、今回の取り組みによって総合支所とのかかわりが深まることは望ましいことだと思いますが、区全体としての商店街振興の重要性など、これまで同様に産業振興課が果たしていく役割も大きなものがあると思いますが、区のお考えをお伺いいたします。
次に、区の防災対策についてです。
東日本大震災以降、区では昨年十月に港区防災対策基本条例を制定し、ことし三月には帰宅困難者対策として、制定した防災対策基本条例に基づき、区内の二十五事業者と協定を締結しました。その後、ことし九月にはJR東日本と帰宅困難者対策に関する協定を締結し、区内の四つのJR駅における帰宅困難者対策の推進に弾みがつきました。また、ことし三月からは、区の防災対策のバイブルである港区地域防災計画の修正に着手され、五月には港区防災会議の専門部会である、港区地域防災計画に女性の視点を反映させる部会を設け、学識経験者の専門的な知見をいただきながら検討を進め、七月には部会からの報告がなされました。
報告を拝見しますと、十三項目にわたる東日本大震災の被災地での避難所の教訓を踏まえた提案が盛り込まれております。さらに区は、修正をしている港区地域防災計画の完成を待つことなく、さきの定例会において補正予算を計上しております。私は、震災対策をはじめとする危機管理には、スピード感というものが非常に重要であると常々思っているわけですが、武井区政三期目の初年度に相当する今期、これだけの短い期間に被災地への職員派遣や、被災者の区営住宅等への受け入れ、さらに先日、私の地元である元赤坂で不発弾処理などもありました。こうした非常に多忙な中で、港区は、他区や東京都にも先んじて防災対策を着々と進めているのだという実感が、区民や事業者にも伝わっていると思います。港区を震災にも強い、安全で安心なまちにしようという区長の意気込みが感じられ、しかもスピード感もあり、私はこうした区長はじめ区の取り組みを高く評価したいと思います。
さて、そこで気になりますのが、現在、区が修正を進めております港区地域防災計画がどのような内容になるのかについてであります。地域防災計画は、災害対策基本法に基づいて港区防災会議が策定するものであり、来年三月の完成と聞いておりますことから、現時点では区長もお答えになれない事項もあろうかとは思います。これから住民説明会なども実施されることと思いますので、区長に二点お尋ねします。
最初の質問は、現在、修正している港区地域防災計画は修正にあたり、都心港区の特性を踏まえ、どういう取り組みに力を入れて修正されているのか、ご答弁をお願いいたします。
二点目の質問に移ります。首都直下地震の発生が迫っていると言われております。しかし、地域の声を聞いておりますと、自助と共助が防災対策の基本であると言われているにもかかわらず、相変わらず、行政がこういう防災対策をしてくれたらとか、会社が何々を決めてくれたらなど、災害対策においても相変わらず行政任せ、人任せの発想が中心になっている感がいたします。
震度七の非常に強い揺れが襲ってきたとき、風呂に入っているかもしれない、買い物中で外にいるかもしれない。そうした状況下、すなわち初動の段階で自分の命を守るのは、他人ではなく、自分自身なんだという、まずは自助の大切さ、備えの大切さもしっかり伝えていくべきだと思うわけです。このことは、区、区民、事業者の責務として、昨年制定した港区防災対策基本条例にも明記されております。
さて、質問です。見直しをされている港区地域防災計画を、今後どのようなスケジュールで区民等にお示ししていただく予定なのか。特に、地域防災協議会などには丁寧にご説明いただきたい。ご答弁をお願いいたします。
環境についてお伺いいたします。
地球温暖化がこれ以上進むことがないよう、温室効果ガスの排出の少ない低炭素社会を構築し、子孫の未来を守ることが、今、この時代に生きる我々の責務であります。東日本大震災以降、エネルギーの供給不足が問題となり、また、停電の続く被災地に思いをはせる、「今自分ができることを」と多くの方々が自宅や職場において節電に取り組みました。暗くなったまちを感じながら、「この局面を皆で乗り切ろう」という思いを一人ひとりが抱いていたはずです。
想像力というのは人間だけが持つ能力だと言われております。社会の問題、人の痛み、地域の将来に思いをはせ、自分のやるべきことを考える。私は、この想像力がこれからの社会、未来をつくる源泉だと考えております。地球温暖化対策についても、地球や子孫の未来に思いをいたし、今、自分ができることを考えることがそもそもの出発点です。
区は今年度、港区地球温暖化対策地域推進計画を改定し、今後の施策の方針を定めようとしています。計画の改定にあたり大いに想像力を働かせ、また、区内に住み、働く一人ひとりの想像力に働きかけ、その行動を促す内容となるよう検討を進めていただきたいのですが、区長のご見解をお伺いいたします。
また、計画で役割の大切さを説くのとあわせ、一人ひとりが取り組みを進めやすい仕組みをつくることも必要です。区長がこれまで進めてきた港区民間建築物低炭素化促進制度による建物の省エネ化や、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度による木材利用の促進などは、目指すべき基準を決めて事業者を誘導するもので、事業計画の提出も順調に行われ、大きな成果を上げています。しかし、建物を建てるときの取り組みだけではなく、暮らしたり利用したりするときの取り組みも促していかねばなりません。
区は震災後、省エネナビの貸し出しやテナントのエネルギー利用状況の見える化事業など、電気やガスの利用状況をデータで確認できるようにすることで、区民や事業者の取り組みやすい仕組みの構築に取り組んでおります。しかし、家庭ごと、テナントごとを対象にした施策では、短期間で区内のエネルギー利用量を大幅に減らすことは難しいと思います。計画の改定にあたっては、マンション全体、ビル全体、まち全体での取り組みを促し、支援するなど、大きな削減効果の得られる新しい施策をぜひ検討していただきたい。ご答弁をお願いいたします。
最後の質問は経済情勢についてです。
我が国の経済情勢は、平成二十年九月のリーマン・ショック後の不況から、やや緩やかながらも回復基調にありましたが、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断や原発事故による各電力会社の電力供給不安や電気料金値上げなどの影響、長引く円高、欧州債務危機、最近ではいわゆる尖閣問題に端を発する中国での日本製品不買運動など、企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続きそうです。
今月十六日に内閣府が発表した月例経済報告によりますと、景気は、世界景気の減速等を背景としてこのところ弱い動きとなっており、先行きについても、当面は弱い動きが続くと見込まれております。また、二〇一二年七月から九月期の実質GDPの成長率は、前期比で〇・九%減、年率では三・五%減となり、第三・四半期ぶりのマイナスとなりました。これは政権交代してからの三年、外交を含む経済政策が何ら功を奏しなかったことによるものであると言えましょう。
十一月十六日に衆議院が解散しましたが、我が党はデフレ・円高からの脱却を最優先の政策課題と位置づけ、名目三%以上の経済成長を達成する公約を掲げております。
こうした中、中小企業対策は、基礎自治体としての区が担うべき役割は大きいと考えております。区が実施している中小企業の景況調査によりますと、最新が平成二十四年七月から九月のものでありますが、業況については大半の業種で悪化幅が拡大、来期についても今期同様の厳しさが続く見込みであるとしております。また、平成二十一年に施行された中小企業金融円滑化法が来年三月で期限切れとなり、この影響も懸念されるところであります。
これまでも区は、他の自治体に先駆け、さまざまな産業振興に取り組んできたと大いに評価できるところであり、ハローワークや東京商工会議所との共催による就職面接会や、緊急支援融資などの融資制度の充実、区内共通商品券の追加発行など、まさに景気の状況に即した施策を実施していることは言うまでもありません。今後も厳しく、先行きが不透明な社会経済情勢において、港区の特性を生かした港区ならではの区の産業振興について、区長はどのようにお考えなのかご所見をお伺いいたします。
以上にて私の質問を終わります。時節柄コンパクトにまとめてみました。いかがでしたでしょうか。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
区長(武井雅昭君)
ただいまの自民党議員団を代表しての赤坂大輔議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、プレーパークについてのお尋ねです。
まず、事業の評価についてです。プレーパークに参加された方からは、ふだんできない遊びができ、夢中で遊びに没頭する子どもたちに驚く声や、開催回数を多く望む声をいただいております。また、プレーパークの必要性に対する保護者の認識も高く、運営に参加したいと関心を寄せていただく方も出ております。
区といたしましては、身近な自然の中で子どもたちが自由に伸び伸びと思い切り遊ぶことができる場と機会を提供し、子どもの心身の発達や豊かな育成を支援するというプレーパーク実施の趣旨が実践できていると認識しております。
次に、今後の事業展開についてのお尋ねです。
今後、区は、これまでのプレーパークの実施状況や地域の皆さんとの意見交換で得られた意見を検証してまいります。また、実施回数を増やしていく中で、住民組織を担っていただく人材の育成を図りながら、プレーパークの運営を行政から区民運営へ段階的に移行してまいります。実施箇所につきましては、高輪森の公園、プラタナス公園に加え、今年度から、指定管理者が管理運営を行っております有栖川宮記念公園においてもプレーパークを実施しております。
次に、区役所・支所改革についてのお尋ねです。
まず、職員の意識改革と今後の進め方についてです。私は、区役所・支所改革の実行にあたり、港区が目指す方向性として、総合支所を中心とした区政運営に転換すること、区民との参画と協働を推進し、地域の課題解決に地域で取り組むことを示し、各総合支所に区民参画組織を立ち上げ、地域情報を発信するとともに、職員に積極的にまちに出るよう働きかけてまいりました。職員がまちに出て、それぞれの地域の異なる課題を区民とともに創意工夫をしながら解決する取り組みは着実に定着しており、職員はこれらを実践する中で、区民の皆さんとの協働の必要性とその効果を肌で感じています。今後とも、地域自治を実践する区役所・支所改革をさらに推進し、参画と協働の取り組みを発展させ、総合支所が地域の中心となって区民サービスの拠点となり、地域の課題を地域で解決することができるよう全力で取り組んでまいります。
次に、商店街振興における支援部の役割についてのお尋ねです。
平成十八年四月の区役所・支所改革実施以降、総合支所は地域でのさまざまな事業を通して、商店街との関係を築いてまいりました。区政運営の基本姿勢である区民の皆さんとの参画と協働をさらに推進していくため、地域の拠点である総合支所と地域コミュニティの核である商店街との関係は重要であると考えております。これらを踏まえ、平成二十五年四月から、総合支所において、商店街組織からの各種相談の受け付けや、にぎわい商店街事業の申請の受け付けを実施し、地域の実情に応じたきめ細かな商店街支援の取り組みを進めてまいります。
支援部におきましても、引き続きプレミアム付き区内共通商品券の発行や、港区商店街連合会との連絡調整業務など、区全体の商店街振興に関する事務事業を担い、区内商店街のより一層の活性化を図ってまいります。今後も総合支所中心の区政運営を一層推進するため、総合支所と支援部の連携を強化してまいります。
次に、地域防災計画についてのお尋ねです。
まず、計画修正にあたっての重点的な取り組みについてです。港区地域防災計画の修正にあたっては、東日本大震災の教訓を踏まえ、本年三月に港区地域防災計画改定の基本的考え方を策定いたしました。この基本的考え方では、災害時における実効性のある組織体制の構築、避難所のあり方など十の重点検討事項を示し、これまでこの重点検討事項を中心に計画を修正してまいりました。
また、港区防災対策基本条例に定める対策のうち、特に、災害時要援護者対策、都心・港区特有の課題である帰宅困難者対策、高層住宅の震災対策を三つの重点施策として位置づけ、さらなる充実・強化を図っております。さらに、区独自で行った津波・液状化のシミュレーションの結果や、港区地域防災計画に女性の視点を反映させる部会からいただいた避難所運営や備蓄物資などに関する十三の提案についても確実に計画へ反映できるよう、計画の修正を進めております。
次に、今後の区民等への説明スケジュールについてのお尋ねです。
港区地域防災計画の修正の素案について、区民等から意見を伺うパブリックコメントの実施や住民説明会の開催については、十二月二十一日号の広報みなと及び港区公式ホームページでお知らせいたします。パブリックコメントにつきましては、十二月二十一日から一月二十五日までの約一カ月間実施するとともに、災害時における自助・共助の取り組みの重要さなどについて、区民の皆さんの理解をより深めていただくため、一月十一日から各総合支所の地域と台場地区の区内六カ所で住民説明会を開催いたします。さらに、一月中旬から、平時においても地域の防災リーダーとして防災活動を担っていただいている地域防災協議会の皆さんへ、避難所運営や地域防災力の向上の取り組みなどを中心に、丁寧な説明をした上でご意見を伺い、計画に着実に反映するよう努めてまいります。
次に、地球温暖化対策地域推進計画についてのお尋ねです。
まず、一人ひとりの行動を促す計画の検討についてです。区は、平成二十五年三月に港区地球温暖化対策地域推進計画の改定を予定しております。計画の改定にあたっては、一人ひとりが想像力を働かせ、地球温暖化問題を意識して日々の行動を見直すことができるよう、新たに世帯ごと、事業所の面積ごとに二酸化炭素の削減目標を示すことを検討しております。また、事業所や商店等の省エネ取り組みを募集し、すぐれた取り組みを紹介し表彰するエコショップ・エコオフィス登録事業、テナントのエネルギーの利用状況の見える化、さまざまな環境行動を行うことでポイントをためることができるエコチャレンジ事業など、問題への気づきと環境にやさしい行動の創意工夫を促す施策の充実も検討しております。
地球温暖化による影響は今後さらに深刻になる可能性があります。この危機を克服し、子どもたちと地球の未来を守っていくために、個人、地域、企業など、あらゆるレベルでの取り組みを強化していかなくてはなりません。新たな計画につきましては、区の置かれた状況や区の施策の方針をわかりやすくお示しするとともに、区民の皆様のご理解とご協力が得られる内容となるように工夫をしてまいります。
次に、大きな削減効果の得られる新たな施策の検討についてのお尋ねです。
区の二酸化炭素排出量の八割は、家庭や事業所から排出されていることから、今後さらにマンションや事業所ビルを対象とした効果的な削減策を講じることが必要です。改定予定の地球温暖化対策地域推進計画では、多くの区民や事業者に働きかけることができる対策として、マンションや中小ビルの管理運用時の省エネ対策や節電を推進する施策を検討しております。また、街区全体での対策として、地区内で電気と熱をつくり、効率的に供給する自立分散型エネルギーの導入や複数の地区でエネルギーを融通し合うネットワークの構築など、低炭素のまちづくりの推進についても検討を進めております。都心区としての特性や地域の実情を踏まえ、二酸化炭素排出量の大幅な削減を目指す効果的な対策を立案し、環境先進都市の実現を目指してまいります。
最後に、区の特性を生かした今後の産業振興策のあり方についてのお尋ねです。
区はこれまで、区内企業の経営課題に応じた販路拡大、事業承継等の取り組みを支援するとともに、緊急支援融資の限度額や信用保証料補助を拡充するなど、融資制度の充実を図っております。また、都心区としての港区の特性として、ITやデザインなど他の企業のビジネスをサポートする産業が集積するという特性もあります。こうした特性も踏まえながら、今年度は法務、財務等の経営専門家集団が区内中小企業を包括的・集中的に支援するオーダーメイド経営強化支援事業を新たに開始しております。今後とも、港区の特性を生かした支援施策を機動的に展開し、地域産業の活性化を図ってまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕
教育長(小池眞喜夫君)
ただいまの自民党議員団を代表しての赤坂大輔議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、通学路の安全点検についてのお尋ねです。
まず、緊急合同点検における課題と改善状況についてです。例年、各小学校では春と秋の年二回、PTAや町会・自治会、警察署及び総合支所等と連携して、通学路点検を実施しております。今年度の春の通学路点検は緊急合同点検と位置づけて実施し、全体で百二十六カ所の対策必要箇所を確認いたしました。その内容は、路面表示が消えかかっているなど道路管理に関するものから、街路灯の設置など防犯に関するもの、放置自転車の撤去などのマナーに関するものまで、多岐にわたっております。
今回の点検結果を受け、教育委員会では、道路管理者及び警察署等の関係機関に対し、対策が必要な箇所に対する具体的な改善内容を示した上で、対応の可否や改善時期について、回答期限を設定し要請いたしました。関係機関に対する改善要請に対しましては、十月末時点で百カ所、全体の約八割が既に改善済み、または今後改善予定となっております。
次に、関係機関に対する要望についてのお尋ねです。
緊急合同点検により改善が必要な残りの二十六カ所につきましても、関係機関との協議を継続する中で、早期の改善に努めてまいります。さらに、今後も実施する通学路点検を通じて、引き続き児童の登下校時の安全確保の徹底を図ってまいります。
最後に、子どもたちの資質や教養の醸成についてのお尋ねです。
国際化が進展する中、子どもたちには、国を愛し、日本人であることの自覚と責任のもとで行動・発言できる真の国際人としての資質や教養を身につけさせることが大切であると考えております。そのためには、我が国古来の伝統や芸術文化を大切にする心情を養うとともに、世界に誇る日本文化のすばらしさを学び、日本人としての感性・情緒・豊かな心情等を育む指導を充実することが必要です。知的活動の基盤である言語力の育成はもちろんのこと、日本の伝統や文化の理解を深める教育の充実を図り、体育科での武道の指導などを通して、国や郷土に対する愛着や日本人としての誇りを育むとともに、世界の多様な文化に対する理解を深める教育を推進してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
日程第四を議題といたします。区の一般事務について、質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。十七番赤坂大輔議員。
〔十七番(赤坂大輔君)登壇、拍手〕
(赤坂大輔君)
平成二十四年第四回港区議会定例会にあたり、自民党議員団を代表しまして、区長並びに教育長に質問させていただきます。
冒頭、神勅を宣ります。豊葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。宜しく爾皇孫、就きて治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壤と窮り無かるべきものぞ。
我々自民党は保守政党であることを標榜しております。この神勅を奉じて、我々は、いよいよ差し迫る、この政権奪還をかけた選挙におきまして、真っ向、民主党、そして第三極を迎え撃つことをここに宣言して、質問を開始いたします。
我々が保守するものは伝統であります。すなわち、日本人が長い歴史を通じて培い、伝えてきた風習の中心をなす精神的あり方であります。異国でありますが、英国の保守主義者エドマンド・バークは、「フランス革命の省察」において以下のように述べております。「国家は、現に生存している者の間の組合にとどまらず、既に亡くなった者、はたまた将来、生を受ける者の間の組合となる。それゆえ国家や法を一時的に所有しているにすぎない現在を生きている我々が、祖先から受け取ったものや、将来子孫に属するべきものを忘れて、あたかも自分たちこそが完全な主人であるかのごとくに行為することがあってはならない」。すなわち、バークは、国家を垂直的、すなわち過去から未来へとつながる時間を貫く共同体とみなし、現代を過去、未来と離して考えることの姿勢を厳に戒めているわけであります。これは現在の日本に最も欠けている感覚であるとさえ私は思っております。
先人が築き上げてきた伝統を壊すことに慎重でなければなりません。伝統は歴史と知恵が含まれているからこそ、長期間存続しているわけであります。歴史という長い時間の試行錯誤を参考にしながら、歴史の経験に学んで、善悪、美醜、真偽を見出すことが大切であります。祖先を顧みない者は、子孫に思いをいたすことすらないとは、しばしば歴史が証明するとおり。いずれにしましても、伝統を我々の代で途切れさせてよいのかという議論を、多くの国民が理解できていないという現状が実態であります。
我々は、実生活における差別、不平等、人権侵害には断固反対しますが、しかしながら、いにしえより続いている伝統、芸能、祭事、文化、儀礼などにおいては、守ってきた形態を現代の時代に合わせて変える必要はないと考えております。儀礼は、どの社会においても、その社会の文化とは密接に結びついた表現を持っていますが、それを行う社会の状態はいつも同じというわけにはいきません。時には儀礼のあらわす文化と社会の実態とが乖離してしまうこともあるでしょう。伝統とされるものを、何もかも全て社会変化に合わせてよいのか。伝統というジャンルに関しましては、芸能であれ、工芸であれ、現代の考え方や様式に合わせていじる必要はないと思っております。それは、当時の文化が継承されているものであり、もとより現在の考え方、様式に合うはずがないのです。それが伝統であり、文化であり、現代的価値観を最も当てはめてはならないものであります。
伝統文化に「現代」というメスを入れようとするならば、相当な覚悟と明確な理由が必要であり、そして、それ以前に、部外者が伝統文化の「核」に触れることへの畏怖があってしかるべきでありましょう。また、伝統とされるものは、どの国であろうと、日本以外の新しい国であろうと、グローバルスタンダードを最も避けるべきものであります。伝統は民族の血や風土が育て伝えてきたものであり、「グローバルスタンダード」なる流行の造語による「世界基準」を回避すべき最たるものであります。自国の文化や伝統、すなわちネイティブな事象に対しスタンダード、つまり、標準を導入するということは、語るだにおぞましきまがまがしい所為であります。何を保守し、何を改革するか。ここを再び間違えれば、我々自民党の将来はありません。自民党が生まれ変わったのか、変わっていないのか。所属している私自身、大いに注目してまいる所存であります。
第一に、プレーパークについてお伺いいたします。
我々が夢を託すべき子どもたちを取り巻く環境についてであります。大人の大人による大人のための利便性のもとで、子どもたちのための空間がありません。大人の目線による大人にとっての快適な子どもの遊び場ばかりで、本来遊びの天才であるはずの子どもたちがかわいそうでなりません。我が国では、少子化、働く母親の増加により、子どもたちが自主的に集う機会が奪われ、かつ、都市化の進展により、子どもたちの遊び環境がますます悪化しております。子どもを最優先にしない社会に未来はありません。
ことしの予算特別委員会におきまして、私は、「子どもの遊びに必須の条件は、大人がその場所にいてはいけないということだ」と述べました。その結論にいささかの間違いもないと自負しております。しかしながら、周りを見渡せば、大人が子どもに遊びを押しつける公園、完成された既製の遊具を決まった使い方で遊ぶだけの公園が目立ちます。大人の管理の都合や一方的な価値観だけで決められたルールも多く、子どもの側からすれば、思い切り遊べる遊びの環境は、ほぼなくなってしまっているのが現状です。
プレーパークは冒険遊び場とも呼ばれ、発祥の地はヨーロッパです。子どもは整備された公園よりも、廃材置き場のようなところで楽しく遊んでいるという一人の造園家の発見がきっかけでした。プレーパークは、子どもが伸び伸びと思い切り遊べるように禁止事項を少なくし、自分の責任で自由に遊ぶことを大切にして、子どもが廃材、自然素材を使って自分のしたいことに挑戦し、実現していく場であり、遊びを通して豊かに育つことを支えていく経験の場でもあります。
現在、プレーパークは全国各地に広がり二百カ所以上ともなり、その多くが地域住民や行政が連携して運営しています。このような状況の中、港区においても平成二十二年度に白金台どんぐり児童遊園、高輪森の公園で体験プレーパークを実施し、区内でのプレーパークの認知度、必要性、運営への参加意欲について確認した上で、平成二十三年度から高輪森の公園とプラタナス公園の二カ所で本格的に実施されています。大変喜ばしいことです。
高輪森の公園では、斜面を最大限に利用した遊びとして、ロープを使った斜面登りやモンキーブリッジ、段ボールとブルーシートを使った斜面滑りなどが行われております。また、プラタナス公園では、芝生の広い空間を生かした遊びとして、ロープを使った電車ごっこ、段ボールを使った家づくり、新聞紙を使ったサッカーボールでのドリブルなどが行われております。それぞれの公園の特徴を生かし、ふだんできない遊びに夢中になる子どもたちの生き生きとした姿を見ていると、二つの相まった感情が湧き起こります。すなわち、感性豊かな子どもたちの遊び場を奪い、中年を過ぎてもなお、おのれの夢の実現に奔走する身勝手な大人への憤り、そして、プレーパークに強く賛同する思いであります。
そこで質問ですが、平成二十三年度、二十四年度の二年にわたり、高輪森の公園とプラタナス公園の二カ所で本格的に実施されているプレーパークに対する評価についてお伺いいたします。
プレーパークは、発生するトラブルを日々解決しながら活動し続ける住民の存在なしに継続していくことは困難であり、行政だけの管理運営では規制ばかり増えてしまい、遊び場としての魅力が乏しくなってしまいます。子どものけがなどに対する管理者責任や遊具等の製造物責任が問われる時代ですが、それらにより子どもの遊びの環境が過度に制約されている現実に目を向け、公園などにおける安全や危険に対する私たち大人の認識をもう一度見直し、子どもにとっての魅力的な遊び場をつくる必要があります。
また、安全性の観点から、幼児から年長までの発達段階に合わせて遊びを分けることも必要ですが、その一方で、年齢が異なる子どもが一緒に遊べる場も必要です。低年齢の子どもは年長の子どもの遊びを見ることで多くの刺激を受けます。また、年長の子どもは年下の子どもと触れ合うことで思いやりや我慢することなどを学びます。また、常に挑戦できるような空間や仕掛けをつくることは、子どもの好奇心を高め、創造性や自主性を伸ばし、危険を回避する知恵をつけ、生きていくために必要な力を身につけるのに大いに資すると思われます。
危ないから、汚れるから、うるさいからといって大人は子どもの貴重な体験を奪ってはいないでしょうか。かつて、自分が子どもだったころを思い出し、子どもにとって本当に必要な経験は何かを考える必要があります。このような視点を反映し、プレーパークを継続的に実施していくためには、地域住民の参画によるボランティアと区のバックアップによるお互いのパートナーシップが不可欠なため、プレーパークの実施箇所や実施回数等を増やしていくことで、地域の大人たちの理解と参画を得ながら運営していく必要があります。
そこで質問ですが、今後、プレーパークをどのように展開していくのかお伺いいたします。
次に、通学路点検についてお伺いいたします。
本年四月、京都府亀岡市において、少年による無免許運転の軽自動車が集団登校中の児童と保護者の列に突っ込み、三人が死亡、七人が重軽傷を負う事故が発生しました。その後も千葉県館山市や愛知県岡崎市などで通学途中の児童を襲った同様の交通事故が起きています。
こうした事態を受けて、文部科学省と国土交通省、警察庁の三省庁が連携して対応策を検討し、通学路における緊急合同点検等実施要領を作成しました。その中で、ことし八月末までに、この実施要領に沿って関係機関が連携して通学路の安全対策を講じるよう、教育委員会を通じて全国の小学校に要請しております。特に学校、保護者、道路管理者及び地元警察署による合同点検の実施状況等については、文部科学省に報告するよう依頼があったと伺っております。
我が会派におきましても、平成二十五年度の予算要望に関しまして、「繁華街などへの青色パトのきめ細やかな巡回等、子どもの安全確保策の充実」を要望しているところです。
以上のことを踏まえ、教育長にお伺いいたします。その通学路における緊急合同点検等実施要領による合同点検においてどのような課題が指摘され、そして、それに対し、どのように対応、改善されたのでしょうか。お伺いいたします。
港区では、小学校において、PTAや教育委員会とともに、春と秋の交通安全運動に合わせ、毎年二回、町会・自治会、警察署、総合支所と連携して、保護者や地域、交通管理者など、さまざまな視点から通学路点検を実施しています。土木係など地域を熟知している総合支所が通学路点検に参加していることは大変重要な意義があります。
私の地元、赤坂地域におきましても、赤坂地区総合支所のまちづくり担当課長らの尽力により、通学に危険な箇所の改善が不断になされております。また、通学路点検実施後は、改善を要する箇所について、道路管理者や警察等の関係機関と協議するとともに、各学校では、道路を横断する際の安全確認の方法や、夕方及び夜間時、雨天時の歩行、安全な自転車の利用等について繰り返し指導し、あわせて児童、保護者に危険箇所の周知徹底を図るなど、子どもたちの安全の確保に努めていただいていることは心強い限りです。
しかし、一方では、関係機関と協議はするものの、なかなか改善まで結びついていない危険箇所もあると聞いています。子どもたちの生命・身体の安全にかかわる問題ですから、早急な対策が必要であると考えます。つきましては、国道や都道を管理する国及び東京都に対し、通り一辺倒の要請という形ではなく、具体的な危険個所に対して補修等の期限を設けるなど、詳細な対応策を求めることが必要であると思いますが、教育長のご見解をお伺いいたします。
次に、日本人としての誇り高き資質、教養の育成についてお伺いいたします。
国家公式見解では、日本における最長の伝統とは、言うまでもなく、国家公式見解上、二六七二年、百二十五代連綿たる万世一系の男系継承たる皇統でありますが、世界の方々が最も関心を抱くこの世界最長の伝統について、当の日本国民の約七割がこの最根幹事項をいまだに理解できていないという大変嘆かわしい事態が現出され続けております。現存する世界百九十二カ国の中で日本は最も歴史が古く、政体こそ幾度の変遷を経つつも、他国とは違い、文化を破壊する王朝交代を経験することがなかったゆえに、国体が一貫して継続しており、その結果、最も幅広く、最も奥深い文化を持っていることを子どもたちは認識しているのでしょうか。
フランスの文化人類学者レヴィ・ストロースの言葉をまつまでもなく、「神話から続いている国」とは、すなわち皇室と祭祀と言語のことであることは言うまでもありません。日本語は現存する世界の国々において、最も古くより使用されている言語であり、漢字、平仮名、片仮名の三種類の文字が有機的に機能し、かつ、文字の羅列にとどまらず視覚にも訴えるという希有な多元的文字伝統を誇っております。このような歴史と多様性を有するがゆえに情感が豊かに養われ、俳諧などの文化を生み出したばかりか、何といっても神代に通ずる世界最古の誇るべき言語なのだという認識が、果たして子どもたちにしっかりと教えられているのでしょうか。
つけ加えますと、これほどまでに古い言語を一様に一億人以上が話している国家は世界では皆無であります。人間はその語彙、すなわちボキャブラリーを大きく超えて感じたり、考えたりすることはできません。母国語の語彙は思考であり、情緒なのです。日本語を話すがゆえに、我々は世界で最も情緒、情感がすぐれているという実態は言うまでもありません。
十三世紀まで、おおよそ万葉集、古今集、源氏物語、方丈記、徒然草などなど、世界に冠たる作品文化が完成していた文学は今さら言うに及ばず、世界に誇る普遍的価値を持つ華道、茶道、書道、能、狂言、歌舞伎、相撲、柔道、剣道などなど、そして、例えば音楽文化。千六百年の歴史を積み上げた立ち居振る舞い、楽器、言葉、衣装に至るまで洗練され尽くした雅楽こそが最高の音楽であるという世界の評価。つけ加えましたら、日本で言えば、江戸時代に始まった欧米のクラシック音楽は、歴史的には雅楽に比してポピュラーミュージックの類いでしかなく、本来クラシック音楽と呼ばれるべきは日本の雅楽だけであるという圧倒的事実。例えば食文化、懐石料理、大衆料理、居酒屋、焼き鳥屋、すし、てんぷら、そば、うどん、たこ焼き、もんじゃ焼き、牛丼などはそれぞれの専門店があるという豊富な食文化を誇る以上、ミシュランなんぞに格付けされるいわれはないわけであります。
そもそも世界人類で最初に煮炊き、すなわち調理したのは日本人でありますことは、約一万七千年前の世界最古の土器である青森県の大平山元I遺跡出土土器によって明らかともなり、世界最初に酒を飲み交わしたのも日本人であったことも事実であります。欧米諸国がけものを捕らえて生肉を食していた時分に、我々の先祖は酒と焼き肉を楽しんでいたわけであります。
また、日本史ではなくて国史という名称に断固としてすべきだと思っておりますが、どこの国であれ、国の歴史教育は建国の神話から始まります。日本では建国の経緯、神話が歴史教科書に記されておらず、何と地質学、考古学から展開されているという極めて特異なものを使用しております。これは日本人に生まれたからには日本とは何かを教わる権利を子どもから奪っているという万死に値する罪であると言えましょう。日本人として生まれながらも、日本がどのようにして建国したかを知らない。さらに有史以前の言語が現在に存続している現存唯一の古代国家が日本であるということを知らない大人が英語を学ぼうと騒いでいる。これほど不幸なことはありません。
このような嘆かわしい現状の中で、世界に冠たる日本に住まう日本人としての誇り高き資質、知的感受性、美的情緒、教養を醸成するためにも、未来を担う子どもたちへの教育が最根幹であると考えますが、教育長のご見解をお伺いいたします。
次に、区役所・支所改革についてお伺いいたします。
世の中を見回してみると、「改革」という言葉があふれております。選挙制度改革、社会保障と税の一体改革、年金改革、地方分権改革などなど、いかに改革を必要とする制度や仕組みが多くあるのかを物語っているようです。
「改革」を広辞苑で引くと、「改めかえること」「改まりかわること」と書かれています。つまり、現状を転換させる、今までと違ったものに変えるということにほかならないわけですが、改革と銘打っておきながら、達成できた事例を寡聞にして存じません。改革を実行する際には、一方で痛みを伴うことがしばしばであります。現状で満足する者にとっては迷惑な話であり、改革を実行する者は、痛みや抵抗を排してでもなし遂げる気概と覚悟が必要になるのです。
さて、港区では、武井区長の強いリーダーシップのもと、平成十八年四月に区役所・支所改革を実行しました。単に区役所を便利にします、支所を強化しますというキャッチフレーズにせず、これまでの区役所や支所を「改革」すると表現したところに、区長の並々ならぬ意気込みが感じられます。
私は、区役所・支所改革が成功するためには、何よりも実際に業務を担っている職員の理解が必要であり、その意識、姿勢が成功の鍵を握っていると考えています。平成十年、区は、部の数を減らすという大幅な組織機構の再編を行いました。簡素で効率的な事務の執行は、とりもなおさず集中化という方向が一つの答えになるだろうと思います。実際に他の自治体の状況を見たときに、出張所や支所を廃止し、本庁に集約することにより業務の効率化を目指している自治体が多くあります。港区の職員もそのような考え方が定着しているのではないでしょうか。区役所・支所改革は、一見すると非効率的なものに映ると思いますが、区長は、この七年間、どのようにして職員の考え方、姿勢を転換させてきたのか。そして、今後さらなる区役所・支所改革を進めていく上で、どのように対応していくのかお伺いいたします。
もう一つ、区役所・支所改革を成功させるためには、総合支所を中心にしつつも、支援部の役割を十分に発揮させることが欠かせないと考えます。先般、区が策定した平成二十五年度区役所・支所改革の充実策では、総合支所で取り扱う業務を充実させることが打ち出されており、このメニューの中に商店街振興に関するものが含まれております。商店街は、区民の交流を促進する地域コミュニティの拠点としての役割を担っております。だからこそ、これまで区は、商店街に対しさまざまな補助や支援を行ってきたのであり、補助の中には東京都によるものも含まれていますが、これまで産業振興課を中心に円滑な対応がなされてきています。商店街も地域に根ざした存在であることから、今回の取り組みによって総合支所とのかかわりが深まることは望ましいことだと思いますが、区全体としての商店街振興の重要性など、これまで同様に産業振興課が果たしていく役割も大きなものがあると思いますが、区のお考えをお伺いいたします。
次に、区の防災対策についてです。
東日本大震災以降、区では昨年十月に港区防災対策基本条例を制定し、ことし三月には帰宅困難者対策として、制定した防災対策基本条例に基づき、区内の二十五事業者と協定を締結しました。その後、ことし九月にはJR東日本と帰宅困難者対策に関する協定を締結し、区内の四つのJR駅における帰宅困難者対策の推進に弾みがつきました。また、ことし三月からは、区の防災対策のバイブルである港区地域防災計画の修正に着手され、五月には港区防災会議の専門部会である、港区地域防災計画に女性の視点を反映させる部会を設け、学識経験者の専門的な知見をいただきながら検討を進め、七月には部会からの報告がなされました。
報告を拝見しますと、十三項目にわたる東日本大震災の被災地での避難所の教訓を踏まえた提案が盛り込まれております。さらに区は、修正をしている港区地域防災計画の完成を待つことなく、さきの定例会において補正予算を計上しております。私は、震災対策をはじめとする危機管理には、スピード感というものが非常に重要であると常々思っているわけですが、武井区政三期目の初年度に相当する今期、これだけの短い期間に被災地への職員派遣や、被災者の区営住宅等への受け入れ、さらに先日、私の地元である元赤坂で不発弾処理などもありました。こうした非常に多忙な中で、港区は、他区や東京都にも先んじて防災対策を着々と進めているのだという実感が、区民や事業者にも伝わっていると思います。港区を震災にも強い、安全で安心なまちにしようという区長の意気込みが感じられ、しかもスピード感もあり、私はこうした区長はじめ区の取り組みを高く評価したいと思います。
さて、そこで気になりますのが、現在、区が修正を進めております港区地域防災計画がどのような内容になるのかについてであります。地域防災計画は、災害対策基本法に基づいて港区防災会議が策定するものであり、来年三月の完成と聞いておりますことから、現時点では区長もお答えになれない事項もあろうかとは思います。これから住民説明会なども実施されることと思いますので、区長に二点お尋ねします。
最初の質問は、現在、修正している港区地域防災計画は修正にあたり、都心港区の特性を踏まえ、どういう取り組みに力を入れて修正されているのか、ご答弁をお願いいたします。
二点目の質問に移ります。首都直下地震の発生が迫っていると言われております。しかし、地域の声を聞いておりますと、自助と共助が防災対策の基本であると言われているにもかかわらず、相変わらず、行政がこういう防災対策をしてくれたらとか、会社が何々を決めてくれたらなど、災害対策においても相変わらず行政任せ、人任せの発想が中心になっている感がいたします。
震度七の非常に強い揺れが襲ってきたとき、風呂に入っているかもしれない、買い物中で外にいるかもしれない。そうした状況下、すなわち初動の段階で自分の命を守るのは、他人ではなく、自分自身なんだという、まずは自助の大切さ、備えの大切さもしっかり伝えていくべきだと思うわけです。このことは、区、区民、事業者の責務として、昨年制定した港区防災対策基本条例にも明記されております。
さて、質問です。見直しをされている港区地域防災計画を、今後どのようなスケジュールで区民等にお示ししていただく予定なのか。特に、地域防災協議会などには丁寧にご説明いただきたい。ご答弁をお願いいたします。
環境についてお伺いいたします。
地球温暖化がこれ以上進むことがないよう、温室効果ガスの排出の少ない低炭素社会を構築し、子孫の未来を守ることが、今、この時代に生きる我々の責務であります。東日本大震災以降、エネルギーの供給不足が問題となり、また、停電の続く被災地に思いをはせる、「今自分ができることを」と多くの方々が自宅や職場において節電に取り組みました。暗くなったまちを感じながら、「この局面を皆で乗り切ろう」という思いを一人ひとりが抱いていたはずです。
想像力というのは人間だけが持つ能力だと言われております。社会の問題、人の痛み、地域の将来に思いをはせ、自分のやるべきことを考える。私は、この想像力がこれからの社会、未来をつくる源泉だと考えております。地球温暖化対策についても、地球や子孫の未来に思いをいたし、今、自分ができることを考えることがそもそもの出発点です。
区は今年度、港区地球温暖化対策地域推進計画を改定し、今後の施策の方針を定めようとしています。計画の改定にあたり大いに想像力を働かせ、また、区内に住み、働く一人ひとりの想像力に働きかけ、その行動を促す内容となるよう検討を進めていただきたいのですが、区長のご見解をお伺いいたします。
また、計画で役割の大切さを説くのとあわせ、一人ひとりが取り組みを進めやすい仕組みをつくることも必要です。区長がこれまで進めてきた港区民間建築物低炭素化促進制度による建物の省エネ化や、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度による木材利用の促進などは、目指すべき基準を決めて事業者を誘導するもので、事業計画の提出も順調に行われ、大きな成果を上げています。しかし、建物を建てるときの取り組みだけではなく、暮らしたり利用したりするときの取り組みも促していかねばなりません。
区は震災後、省エネナビの貸し出しやテナントのエネルギー利用状況の見える化事業など、電気やガスの利用状況をデータで確認できるようにすることで、区民や事業者の取り組みやすい仕組みの構築に取り組んでおります。しかし、家庭ごと、テナントごとを対象にした施策では、短期間で区内のエネルギー利用量を大幅に減らすことは難しいと思います。計画の改定にあたっては、マンション全体、ビル全体、まち全体での取り組みを促し、支援するなど、大きな削減効果の得られる新しい施策をぜひ検討していただきたい。ご答弁をお願いいたします。
最後の質問は経済情勢についてです。
我が国の経済情勢は、平成二十年九月のリーマン・ショック後の不況から、やや緩やかながらも回復基調にありましたが、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断や原発事故による各電力会社の電力供給不安や電気料金値上げなどの影響、長引く円高、欧州債務危機、最近ではいわゆる尖閣問題に端を発する中国での日本製品不買運動など、企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況が続きそうです。
今月十六日に内閣府が発表した月例経済報告によりますと、景気は、世界景気の減速等を背景としてこのところ弱い動きとなっており、先行きについても、当面は弱い動きが続くと見込まれております。また、二〇一二年七月から九月期の実質GDPの成長率は、前期比で〇・九%減、年率では三・五%減となり、第三・四半期ぶりのマイナスとなりました。これは政権交代してからの三年、外交を含む経済政策が何ら功を奏しなかったことによるものであると言えましょう。
十一月十六日に衆議院が解散しましたが、我が党はデフレ・円高からの脱却を最優先の政策課題と位置づけ、名目三%以上の経済成長を達成する公約を掲げております。
こうした中、中小企業対策は、基礎自治体としての区が担うべき役割は大きいと考えております。区が実施している中小企業の景況調査によりますと、最新が平成二十四年七月から九月のものでありますが、業況については大半の業種で悪化幅が拡大、来期についても今期同様の厳しさが続く見込みであるとしております。また、平成二十一年に施行された中小企業金融円滑化法が来年三月で期限切れとなり、この影響も懸念されるところであります。
これまでも区は、他の自治体に先駆け、さまざまな産業振興に取り組んできたと大いに評価できるところであり、ハローワークや東京商工会議所との共催による就職面接会や、緊急支援融資などの融資制度の充実、区内共通商品券の追加発行など、まさに景気の状況に即した施策を実施していることは言うまでもありません。今後も厳しく、先行きが不透明な社会経済情勢において、港区の特性を生かした港区ならではの区の産業振興について、区長はどのようにお考えなのかご所見をお伺いいたします。
以上にて私の質問を終わります。時節柄コンパクトにまとめてみました。いかがでしたでしょうか。ご清聴ありがとうございました。
〔区長(武井雅昭君)登壇〕
区長(武井雅昭君)
ただいまの自民党議員団を代表しての赤坂大輔議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、プレーパークについてのお尋ねです。
まず、事業の評価についてです。プレーパークに参加された方からは、ふだんできない遊びができ、夢中で遊びに没頭する子どもたちに驚く声や、開催回数を多く望む声をいただいております。また、プレーパークの必要性に対する保護者の認識も高く、運営に参加したいと関心を寄せていただく方も出ております。
区といたしましては、身近な自然の中で子どもたちが自由に伸び伸びと思い切り遊ぶことができる場と機会を提供し、子どもの心身の発達や豊かな育成を支援するというプレーパーク実施の趣旨が実践できていると認識しております。
次に、今後の事業展開についてのお尋ねです。
今後、区は、これまでのプレーパークの実施状況や地域の皆さんとの意見交換で得られた意見を検証してまいります。また、実施回数を増やしていく中で、住民組織を担っていただく人材の育成を図りながら、プレーパークの運営を行政から区民運営へ段階的に移行してまいります。実施箇所につきましては、高輪森の公園、プラタナス公園に加え、今年度から、指定管理者が管理運営を行っております有栖川宮記念公園においてもプレーパークを実施しております。
次に、区役所・支所改革についてのお尋ねです。
まず、職員の意識改革と今後の進め方についてです。私は、区役所・支所改革の実行にあたり、港区が目指す方向性として、総合支所を中心とした区政運営に転換すること、区民との参画と協働を推進し、地域の課題解決に地域で取り組むことを示し、各総合支所に区民参画組織を立ち上げ、地域情報を発信するとともに、職員に積極的にまちに出るよう働きかけてまいりました。職員がまちに出て、それぞれの地域の異なる課題を区民とともに創意工夫をしながら解決する取り組みは着実に定着しており、職員はこれらを実践する中で、区民の皆さんとの協働の必要性とその効果を肌で感じています。今後とも、地域自治を実践する区役所・支所改革をさらに推進し、参画と協働の取り組みを発展させ、総合支所が地域の中心となって区民サービスの拠点となり、地域の課題を地域で解決することができるよう全力で取り組んでまいります。
次に、商店街振興における支援部の役割についてのお尋ねです。
平成十八年四月の区役所・支所改革実施以降、総合支所は地域でのさまざまな事業を通して、商店街との関係を築いてまいりました。区政運営の基本姿勢である区民の皆さんとの参画と協働をさらに推進していくため、地域の拠点である総合支所と地域コミュニティの核である商店街との関係は重要であると考えております。これらを踏まえ、平成二十五年四月から、総合支所において、商店街組織からの各種相談の受け付けや、にぎわい商店街事業の申請の受け付けを実施し、地域の実情に応じたきめ細かな商店街支援の取り組みを進めてまいります。
支援部におきましても、引き続きプレミアム付き区内共通商品券の発行や、港区商店街連合会との連絡調整業務など、区全体の商店街振興に関する事務事業を担い、区内商店街のより一層の活性化を図ってまいります。今後も総合支所中心の区政運営を一層推進するため、総合支所と支援部の連携を強化してまいります。
次に、地域防災計画についてのお尋ねです。
まず、計画修正にあたっての重点的な取り組みについてです。港区地域防災計画の修正にあたっては、東日本大震災の教訓を踏まえ、本年三月に港区地域防災計画改定の基本的考え方を策定いたしました。この基本的考え方では、災害時における実効性のある組織体制の構築、避難所のあり方など十の重点検討事項を示し、これまでこの重点検討事項を中心に計画を修正してまいりました。
また、港区防災対策基本条例に定める対策のうち、特に、災害時要援護者対策、都心・港区特有の課題である帰宅困難者対策、高層住宅の震災対策を三つの重点施策として位置づけ、さらなる充実・強化を図っております。さらに、区独自で行った津波・液状化のシミュレーションの結果や、港区地域防災計画に女性の視点を反映させる部会からいただいた避難所運営や備蓄物資などに関する十三の提案についても確実に計画へ反映できるよう、計画の修正を進めております。
次に、今後の区民等への説明スケジュールについてのお尋ねです。
港区地域防災計画の修正の素案について、区民等から意見を伺うパブリックコメントの実施や住民説明会の開催については、十二月二十一日号の広報みなと及び港区公式ホームページでお知らせいたします。パブリックコメントにつきましては、十二月二十一日から一月二十五日までの約一カ月間実施するとともに、災害時における自助・共助の取り組みの重要さなどについて、区民の皆さんの理解をより深めていただくため、一月十一日から各総合支所の地域と台場地区の区内六カ所で住民説明会を開催いたします。さらに、一月中旬から、平時においても地域の防災リーダーとして防災活動を担っていただいている地域防災協議会の皆さんへ、避難所運営や地域防災力の向上の取り組みなどを中心に、丁寧な説明をした上でご意見を伺い、計画に着実に反映するよう努めてまいります。
次に、地球温暖化対策地域推進計画についてのお尋ねです。
まず、一人ひとりの行動を促す計画の検討についてです。区は、平成二十五年三月に港区地球温暖化対策地域推進計画の改定を予定しております。計画の改定にあたっては、一人ひとりが想像力を働かせ、地球温暖化問題を意識して日々の行動を見直すことができるよう、新たに世帯ごと、事業所の面積ごとに二酸化炭素の削減目標を示すことを検討しております。また、事業所や商店等の省エネ取り組みを募集し、すぐれた取り組みを紹介し表彰するエコショップ・エコオフィス登録事業、テナントのエネルギーの利用状況の見える化、さまざまな環境行動を行うことでポイントをためることができるエコチャレンジ事業など、問題への気づきと環境にやさしい行動の創意工夫を促す施策の充実も検討しております。
地球温暖化による影響は今後さらに深刻になる可能性があります。この危機を克服し、子どもたちと地球の未来を守っていくために、個人、地域、企業など、あらゆるレベルでの取り組みを強化していかなくてはなりません。新たな計画につきましては、区の置かれた状況や区の施策の方針をわかりやすくお示しするとともに、区民の皆様のご理解とご協力が得られる内容となるように工夫をしてまいります。
次に、大きな削減効果の得られる新たな施策の検討についてのお尋ねです。
区の二酸化炭素排出量の八割は、家庭や事業所から排出されていることから、今後さらにマンションや事業所ビルを対象とした効果的な削減策を講じることが必要です。改定予定の地球温暖化対策地域推進計画では、多くの区民や事業者に働きかけることができる対策として、マンションや中小ビルの管理運用時の省エネ対策や節電を推進する施策を検討しております。また、街区全体での対策として、地区内で電気と熱をつくり、効率的に供給する自立分散型エネルギーの導入や複数の地区でエネルギーを融通し合うネットワークの構築など、低炭素のまちづくりの推進についても検討を進めております。都心区としての特性や地域の実情を踏まえ、二酸化炭素排出量の大幅な削減を目指す効果的な対策を立案し、環境先進都市の実現を目指してまいります。
最後に、区の特性を生かした今後の産業振興策のあり方についてのお尋ねです。
区はこれまで、区内企業の経営課題に応じた販路拡大、事業承継等の取り組みを支援するとともに、緊急支援融資の限度額や信用保証料補助を拡充するなど、融資制度の充実を図っております。また、都心区としての港区の特性として、ITやデザインなど他の企業のビジネスをサポートする産業が集積するという特性もあります。こうした特性も踏まえながら、今年度は法務、財務等の経営専門家集団が区内中小企業を包括的・集中的に支援するオーダーメイド経営強化支援事業を新たに開始しております。今後とも、港区の特性を生かした支援施策を機動的に展開し、地域産業の活性化を図ってまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。
教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。
〔教育長(小池眞喜夫君)登壇〕
教育長(小池眞喜夫君)
ただいまの自民党議員団を代表しての赤坂大輔議員のご質問に順次お答えいたします。
最初に、通学路の安全点検についてのお尋ねです。
まず、緊急合同点検における課題と改善状況についてです。例年、各小学校では春と秋の年二回、PTAや町会・自治会、警察署及び総合支所等と連携して、通学路点検を実施しております。今年度の春の通学路点検は緊急合同点検と位置づけて実施し、全体で百二十六カ所の対策必要箇所を確認いたしました。その内容は、路面表示が消えかかっているなど道路管理に関するものから、街路灯の設置など防犯に関するもの、放置自転車の撤去などのマナーに関するものまで、多岐にわたっております。
今回の点検結果を受け、教育委員会では、道路管理者及び警察署等の関係機関に対し、対策が必要な箇所に対する具体的な改善内容を示した上で、対応の可否や改善時期について、回答期限を設定し要請いたしました。関係機関に対する改善要請に対しましては、十月末時点で百カ所、全体の約八割が既に改善済み、または今後改善予定となっております。
次に、関係機関に対する要望についてのお尋ねです。
緊急合同点検により改善が必要な残りの二十六カ所につきましても、関係機関との協議を継続する中で、早期の改善に努めてまいります。さらに、今後も実施する通学路点検を通じて、引き続き児童の登下校時の安全確保の徹底を図ってまいります。
最後に、子どもたちの資質や教養の醸成についてのお尋ねです。
国際化が進展する中、子どもたちには、国を愛し、日本人であることの自覚と責任のもとで行動・発言できる真の国際人としての資質や教養を身につけさせることが大切であると考えております。そのためには、我が国古来の伝統や芸術文化を大切にする心情を養うとともに、世界に誇る日本文化のすばらしさを学び、日本人としての感性・情緒・豊かな心情等を育む指導を充実することが必要です。知的活動の基盤である言語力の育成はもちろんのこと、日本の伝統や文化の理解を深める教育の充実を図り、体育科での武道の指導などを通して、国や郷土に対する愛着や日本人としての誇りを育むとともに、世界の多様な文化に対する理解を深める教育を推進してまいります。
よろしくご理解のほどお願いいたします。