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議会活動

平成23年度第3回定例会決算特別委員会産業経済費

要旨

一連の「お江」キャンペーンについて
1 産業経済振興の立場から歴史の領域に踏み込んだ覚悟と責任について伺う
2 出典元を逐次当たっているか
3 特定の意志を持つ、バイアスのかかった意図に乗じる危険性の認識について
港区連続歴史講座について
1 剽窃が得意なだけの大家や肩書があるだけの歴史素人ではなく、地域に数多存在するスペシャリストの起用について

全文

◯委員(赤坂だいすけ君)
時間がないのでさっさと行きますが、記念すべき50作目の、今NHKでやっている大河ドラマ、歴史ファンの間では史上最悪の歴史大河ドラマということで名高く、私も広告代理店に3年半勤めた後、十数年、よく皆さんごらんになると思いますけれども、学研の歴史群像という編集部に私はいまして働いていました。私の目から見ても、これほどひどい大河ドラマはないと断ぜざるを得ない、もう怒りを通り越して無関心になるという感じでやっています。
 まず、どんな方に聞いてもわかると思いますけれども、江ってだれですかと聞いて答えられる人というのは日本にだれもいないのですよ。名前がないですから。よくドラマで江とか初、茶々と、私は見ていないですけれども、多分そう言っているらしいですが、江、初、茶々と言っているのですけれども、まず名前がないですから、そんなはずはない。私は前回も言いましたけれども、現代的価値観で歴史を見てはいけないということですよ。そういう思いがあるので、名前がないということです。(「小説だよ」と呼ぶ者あり)小説という言葉より、これは剽窃です。
 それについて話しますけれども、いずれにしても、名前がないという実態をまず考えなければならない。何でしたっけ、あの歌、「君の名を呼べば」というやつ。順子。ああいう順子という感じで、源頼朝が本当に北条政子のことを政子と呼んでいたと思うのか。あれは北条時政の子だから政子ですよね。清原元輔の子で清原元輔の少納言だから清少納言ですよ。紫式部もしかり。ドラマで清少納言様なんて呼んでいないわけですよ。ということもあるのですけれども、そんなことを言っていたら、ドラマは確かに成り立たないのです。
 去年の大河ドラマの龍馬伝はすごくよかったです。歴史ファンを増やそうという意図が感じられれば、うそでもいいと思っているのです。ただ、おかしいのは、龍馬と言ってお姉さんとかお母さんがからかう。これをやったら一撃で処刑ですから。男性は元服したら殿様の家臣なのです。家族ではないのです。ですから、殿様をばかにしたということで山内容堂公から多分斬首を申しつけられるということで、多分家庭団らんなどないのですね。ばかにされるということもない。そして、家同士の結婚なので、自由に男女が出会うこともありません。したがって、恋愛もありません。武士が走ることもありません。立ち話もありません。大奥に男性が入れませんし、御殿に女性は入れません。ハレとケ、日常のケのところには女性は入れますけれどハレの部分には入れない。政治のことに女性は口を挟めません。これは差別ではなくて連座制を恐れているからです。殿様がもし罪になったときに、奥さんが日常的に政治に介入しているという慣例があったとしたら、奥さんも処刑されなければならなくなる。基本的に女性が為政に口を出せば「御政道のことにつき立入無用」といわれる、女性は「私とした事がとんだぶしつけなことをしました」と言って終わりです。いずれにしても、女性を立ち入らせないということで女性を守るという価値観があったわけです。封建的だなということでおしかりを受けることもあるのですけれども、封建時代のことを言っているのでしようがない。
 そんなことを言っていたらドラマは成り立たないのですけれど、私はある雑誌を見て、私が江に対して違和感を感じているのはこれなんだというのに気づいたのですよ。脚本家の田渕久美子さんと主演の上野樹里さんの会話なのですけれど、これは平和を願うというだけのドラマだと。戦国に平和を持ち込みたいと。脚本家、「戦国を舞台にして江の物語をとお話をいただいたときは、え、それはどなたですかと聞いてしまった。私は江のことは全く知りません。そして資料も読んでいません。なぜかというと、江に資料は一切ありませんもの。ですから、三姉妹も私なりにキャラクターをつくってみました。」上野樹里さん、「私も三姉妹の末っ子だからよくわかる。」「やっぱり?」「17歳のとき、てるてる家族で朝ドラをやったとき、春子、夏子、秋子、冬子の4姉妹の秋子で三女でした。」「私、それ知ってる。」要するにそういう感じでやっているのですね。それで、「戦国大名をどやしつけるなんてとても気持ちいいじゃないですか。」田渕久美子さん、「作家性なんて私はどうでもいい。皆さんが喜んでくれればどうでもいいの。喜んでもらえるように歴史をどんどん変えていきましょう。歴史を私たちのものにしましょう。」
 これは実に違うと思うのですよね。そういうものに港区は乗るということですか。ちょっときょうは話の順番が逆になっているのですけれど、いずれにしてもつくるわけですね。つくって、港区でもパンフレットもつくると。架空の物語の中でつくるものだから、出典元というのはすべて明らかにしておかなければいけないのですけれど、私は、その学研の歴史編集部にいたときに随分いろいろな目に遭いまして、いい経験の方が多いですけれど、大企業ってこういうことをやるんだなというのがあって、軍記物のシリーズを私はやったのですよ。いろいろな大企業がどんどんパクるのですよ。どんどんパクる。もうこの辺など、だれがどの部分をパクっているのか私は全部わかるのです。なぜかというと、この軍記物の本は私たちの想像の産物なのですよ。私とこのイラストレーターが文章を読んで、例えば明石全登の旗指物は白地にクルスという原書があるから、私たちが参考にして想像してつくっているのです。これが一次資料という事になる。大企業は平気でパクるが根拠は我々のこれなのです。
 よく大河ドラマで本能寺の変というのが出てくると思うのですけれど、昔は信長は本堂で戦っていたと思うのですけれども、最近は奥御殿で戦っていますよね。これはもともと私が編集した本能寺再現イラスト、これが前提なのですよ。この最後の後書きに大浦恵美佳という、これはうちの女房なのですけれど、うちの女房の実家の近くは京都なのですけれど、まだつき合っているとき、結婚前でしたけれど、そのときたまたま携帯で今京都にいるとのことでしたので、妙顕寺に行ってくれと私は言ったのです。本能寺は法華宗だから法華寺院で恐らくつくりが一緒に違いないから、妙顕寺へ行ってお寺の伽藍の配置図をもらってきてくれないかと。もらってきてそのままつくったのです。そうしたら、これが出た瞬間にNHKにこのまま出ていたのですね。それでドラマもどんどん変わってくる。でも、これは想像なのです、私にとっては。
 こういうことを言ってはあれですけれども、よくお寺の由緒書きが全部正しいなどと思っている人がいますけれど、港区にある大きなお寺ですけれど、本願寺系なのですけれど、信長との戦いのときにやりをしごいて大坂に援軍に行ったという記述があるのですけれども、あれは私の酒の場のよた話ですからね。恐らくあるに違いないと思うのですよ、信長と徹底抗戦した顕如が降伏した後、長男の教如が全国の本願寺門徒に決起を呼びかけたと。もしかしたらこの寺からも行ったかもしれませんね、私は面白おかしく飲みながら話を展開した。それが由緒書きに書かれ始めたのです。でも、そんなものなのです、歴史というのは。だから、常に原文に当たらなければいけない非常に危険なものを秘めていて、私は本当にいろいろな小さい調停とか裁判をしました。こういうことで、大企業側からは歴史ごろと言われましたよ。一般編集者からは市井の英雄と言われていました。要するに、私たちが研究したものを大企業というのはどんどんぬれ手にアワでパクるのですよ。この旗指物の本では泣き寝入りしたのですけれども、この根拠は何ですかといつでも聞けるように、それからイラストとか地図に全部仕掛けをつくっていこうということに私のチームはなりまして、地図は、よく戦い布陣図というのがあると思うのですけれど、大坂の陣の布陣図とかいろいろな陣があるのです。あれはもともと陸軍の参謀本部がつくったものが原書なのです。全部つくったものなのです。陸軍の参謀本部の意向に従ってつくっているのです。だから、奇襲作戦などがすごく成功しやすいような布陣になっているのです。そこに私たちは、再現の布陣図をつくるときに必ず仕掛けをするのですね。その仕掛けをパクったところに行くわけです、これは何を根拠につくりましたかと。いや、陸軍の参謀本部の地図だと。これは種明かしすると簡単なのですけれども、針葉樹林とかその辺になると行軍不能というマークがついているのです。その辺を行軍不能なところを私たちが地図にしたものを、私たちが見ない限り行軍不能なところを布陣するはずがなかったとか、その辺のさまざまがあって、当時の地図は全部軍事用ですから、だから行軍ができる空き地と畑のマークの違いなどないのです。だけれど、水田というのは乾田、湿田、水田と分かれています、軍事用に動けるかどうかということでね。その辺のトリックを使って全部私たちは地図に仕掛けをし、それをパクった企業にきちんとした対価を払ってもらうという活動を1年ぐらいしていたのです。歴史雑誌はほとんどパクりです。(「多かったんだ」と呼ぶ者あり)多かったですよ、本当にこの歴史街道などほとんどパクりですから、これは言ってもいいのですけれども。
 そういう経験を経ているので私は大丈夫なのかなと心配になるのですよ、こういう港区の資料を見ていると。先ほどパンフレットの話も出ていましたけれども、港区に関してはノーコメントです。まあこれは大丈夫です。ただ、この長浜は相当危ないですね、相当危ない。
 ということで、やはり原書に当たらなければいけないということが絶対的に大事です。系図にしても寛政重修諸家譜という原典、原文があるのですよ。だけど、来年、大河ドラマは平清盛ですけれども、源氏一族などという系図などについては、私が恣意的にいろいろピックアップして殺された人物ばかり並べた系図を無断で使ったある市の教育委員会があって、それは私の抗議の上で謝罪していただきましたけれども、それは当然の対価ですから。
 その辺、大丈夫なのかなというふうに思うということで、最後にちょっと質問します。
 あと、この講座ですね。お江の講座を4回やっていますけれど、この人たちも大丈夫かなというのがあって、第1回のこの人は、この人が書いていることは、要するに小田原合戦を家康・秀吉連合軍みたいなことが書いてある。多分、これをパクったんだと思うのですよ、秀吉襲来というものを。要するに、秀吉を主将として副将が家康と第1回の講師の人が言っているのですけれど、副将は甥の秀次ですからね。家格でいえば信長の次男の織田信雄、家康ではないのです。全然違うのです。だけれど、家康が重要なあれを占めているということをここで取り上げた河合秀郎さんのものを読んだのだと思うのです、これは。今、どこの本屋に売っているかというのは、流通しているか私は全部知っていますから、大体どの時期にどこの本屋で買ってどれを読んでこの講演に挑んだかというのは私は全部わかる。
 第2回のお江の前半生を語るというこの女性、前半生は資料がほぼないのです。生まれた年もわかっていないのです。だから、恐らく前半生を語るという講座は成り立っていないはずなのですよ。
 第3回、第4回とか、この辺は徳川恒孝さんとか実際の徳川家の末裔の方なのでまあいいにしても。
 ちょっと伺います。まず、出典元に随時当たっているかが1点。
 2点目、さっきの歴史をつくっていきましょうという、特定の意思を持つバイアスのかかった意図に乗ることによる危険性の認識について。
 3点目、そういう名前だけの大家とか肩書きがあるだけの歴史素人ではなく、地域にあまた存在するスペシャリストの起用についてどうお考えか、伺います。

◯産業振興課長(武田文彦君)  出典元の確認についてでございますけれども、区では、NHK大河ドラマの放映を契機に、港区を訪れた旅行者の周遊性、回遊性の向上を図ることを目的に、主人公にゆかりのある寺社等を紹介するお江マップを作成いたしました。記載の内容につきましては、郷土資料館学芸員に協力してもらうとともに、当該の寺社等に直接確認をしてまいりました。
 次に、観光振興の取り組みですけれども、バイアスのかかった意図に乗ることによる危険性等について、観光は、多くの産業に経済や雇用の面で大きな波及効果をもたらすとともに、地域の活性化にも資することから、区では、観光振興ビジョンを策定し、観光振興の取り組みを推進してまいりました。観光振興の取り組みの実効性を高めるためには、時機に応じた効果的な施策を展開することが重要と考えております。大河ドラマの放映により、主人公にゆかりのある港区に多くの旅行者が訪れると期待されることから、これを好機ととらえ、戦略的な観光振興の取り組みを推進してまいりました。
 続きまして、歴史講座についてですけれども、連続歴史講座では、大河ドラマの時代考証スタッフの方などを講師にお招きし、講演やパネルディスカッションを実施してまいりました。今後とも歴史や文化をテーマに観光振興の取り組みを推進するに当たりましては、より広く専門の方の意見やお知恵をおかりして取り組んでまいりたいと考えております。

◯委員(赤坂大輔君)  私は、前にも話しましたけれども、図書館の学芸員の高山さんという方と、お台場砲台についての記事をつくったことがあります。そのときは、お台場砲台というのは江川太郎左衛門が幾何学的に敵がどう来てもどこからでも討てるように配置したものだという従来の説を、単にみお筋の先に置いたという、場当たり的なものだったという新しい展開を私は高山さんに書いてもらいまして、それが今、一般見解になりつつある。そういうように本当にリアル歴史ファンが好きなようなことができる人材というのが港区にはいるのですよ。
 片や、もちろんこれは産業振興が目的ですから、私が言うとおりにやったら、多分名所などなくなってしまいますし、リアル過ぎて観光客が来ないと思うのです。確かに、私も歴史講座をやったら歴女が何人も来まして、楽しいなと思ったら、今は全然いなくなってしまいましたよ。リアルな切腹ものを講座第3回でやったらだれも来なくなってしまったのですね。やはりリアル過ぎてもだめだし、緩過ぎてもだめだというあんばいがあるのですよ。だから、その辺はぜひ、チャンスであるということは間違いないし、歴史に興味を持つ人がふえるのもいいのですけれども、その辺はぜひ慎重にやっていただきたい。
 新田次郎文学賞をとった池宮彰一郎というすごい作家がいました。あの人は司馬遼太郎の盗作をしたということで絶筆を余儀なくされた。ほんの思い違いで出典元を当たらないで司馬遼太郎の小説から入った1点を指摘されて彼は絶筆したわけです、あんな作家が。だから、本当に危険というのも変ですけれど、やはりその辺は丁寧に扱わないといけないと思います。あと、私も経験上、自力で、自腹でやっている一介の研究者のために、大企業というかそういう大きい立場のものが全部研究結果を持っていって対価を支払わないということは絶対いけないから、その辺を守っていかなければならないと思う私の思いが流布して、結構そういう、私までならいいのですけれど、本当に歴史ごろというのはいるんですよ。これはどこからとりましたかなどというクレームが来る可能性もありますから、その辺はぜひ慎重になっていただきたい。そして歴史を変えるという意図を持った人、これは朝ドラでやればいいことであって、本当は差別されていたのですよ、確かに一般庶民は。でも、それはそれで描かないと。やはりアメリカの歴史のドラマをつくったときには、黒人が白人と伍して堂々としゃべっているようなものをつくっていては、公民権運動の意味がなくなりますからね。だから、その辺はやはり現代的価値観を当てはめてはいけないということを思いながら、警鐘を鳴らさせていただいたということになりました。
 先ほどの小田委員からのお誘いに関しましても、万難を排して定期的に受けさせていただくということも申し添えまして、質問を終わります。ありがとうございました。