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議会活動

平成19年港区議会第2回定例会 平成18年度決算特別委員会 【教育費】

要旨

1 英語教育について
小学1年生からの早期英語教育の是非
2 新郷土資料館について
3 学校の部活動の指導者について
採用にあたっての基準について
4 その他

全文

◯委員(赤坂だいすけ君)
皆さん、こんにちは。この質問で平成18年度決算特別委員会での質問が終わるということで、民生費、土木費と多少の反発はありましたが、多くの方々からの励ましの言葉をいただきました。しかしながら、本日の教育費の質問におきまして8割方を敵に回すのではないかなという思いがいたします。控室に戻りましたら私の机が自民党の外にないことを祈りながら、質問に入らせていただきます。 小学生に英語教室は必要なのかというお尋ねでございます。英語をしゃべる外国人は、自分の庭であるかのようにこの日本国においても英語で話しかけてまいります。私は、外国の方は日本にいらっしゃったら、自分の都合で物事を尋ねる場合は日本語で尋ねるというのがグローバル・ルールであると思っております。 まずお尋ねいたします。英語教育を小学生から行うことの利点についてどのようにお考えでしょうか。 また、授業に取り入れるからには、将来的に、つまり大人になって英語ができることがよいという絶対前提が要ると思うのですが、スペイン語でもなく、フランス語でもなく、中国語でもなく、唯一英語という、それについてもご説明いただきたく存じます。 また、無限にあるわけでもない授業時間の中で、英語の授業を確保するためにどの教科を削ったのかお教えください。

◯指導室長(藤井千惠子君)
それでは、お答えを申し上げます。 港区は人口の約1割が外国人であり、区内には73の大使館がございます。そのような国際都市でございますので、そこで学ぶ子どもたち、そこに住んでいる子どもたちに英語教育を行うことは、まずは必要であるということを考えております。英語教育を行うことの利点といたしましては、他国の言語や文化に触れ、さまざまな国の文化や伝統などに関心や理解を示す児童が増えたこと、英語の表現に親しみ、インターナショナルスクールの子どもたちなど、多くの外国の方々などと進んでコミュニケーションを楽しむ児童が増えたことなどが挙げられております。 また、英語を取り上げておりますのは、1つは、中学校で英語を履修させるということが学習指導要領におきまして原則となっていること、そのため、小・中学校の円滑な接続を考慮したということで、まず子どもの学びということに配慮いたしました。また、指導者の確保も容易であるということ。我々はみんな中学校・高等学校と英語を習っているところでございますので、そういう多少でもたしなみがあるということで、指導者の確保も容易であるなどの点から英語を取り上げてございます。 次に、授業時間につきましては、小学校の国際科は現在、週2時間実施しておりますが、小学校の低学年では現在は生活科から1時間削減し、さらに1時間を増やしており、小学校の中・高学年では総合的な学習の時間から1時間削減して、さらに1時間を純増すると、そういう形で授業の時間を確保してございます。

◯委員(赤坂だいすけ君)
73の大使館があると、今、指導室長はおっしゃいましたが、果たして英語を母国語とする大使館はどれほどあるのかということはありますが、まずもって、早期英語教育の問題点として、まずは、あくまで英語中心の世界秩序を認めることを前提とした上で出発しているということが挙げられると思います。ここには英語を母国語とする者が世界を英語中心に動かそうとしている、その意思に対する疑念も変革を求める意識も全くない。また、国際人を養成するならば、なぜあまたの言語の中で英語なのか。現在、アメリカ国内ですら英語が通じなくなってきており、例えばロサンゼルス地域の国立学校の人種構成では何と7割がスペイン語を母国語とする人たちであるという、見逃せない変容も生じております。アメリカのメジャーリーグのシアトルマリナーズの城島選手も「スペイン語を勉強しなければならなかった」と、先日、新聞記者におっしゃっておりました。 仮に百歩譲って、英語を話せることが国際人への一歩だとしても、やはり国際人に求められるのはネイティブのように流暢に話せることではありません。相手の行っていることが誤解なく文化的な背景とともに理解でき、自分の伝えたいことが日本の文化的背景とともに論理的かつ明確に伝えることができるという能力でありましょう。語彙も豊富でなくてはならず、要するに、相手が聞くに値する内容であります。中身のない、つまり日本について何ら語るを持たない日本人が、なまはんかに英語で外国人と話しているのを見ると、薄ら寒くなります。それこそまさに国益に反すると言えましょう。日本人が話せるべき内容とは、日本の伝統、固有の文化、歴史、固有の文学、固有の芸術であります。外国人に尋ねられることはそういうことばかりであり、小学生は全授業の半分ぐらいは、私個人としては、国語に費やす、世界的に秀逸である日本の文学作品を乱読させる方が、はるかに将来の国際人として有望だと思うのであります。 英語を話せると視野が広くなると言う方がおりますが、私の経験上、英語を話せるから視野が広がったのであろうと思わせる方にあまりお会いしたことがありません。むしろ、創造性に欠けた偏屈な英・米追随主義者ばかりであります。ここまで話していまして、国連脱退のような演説になってきまして、自分自身、非常に恐縮しておりますが、極端に走っているかとは思いますが、真意をどうかおくみ取りいただきたいと思っております。 現在、海外に100万人近い日本人が住んでおりますが、一体どれほどの方が尊敬されているでしょうか。英語がつたなくとも、内容が伴っておれば確実に尊敬されます。 また、多くの日本人の誤解の一つとして、英語の習熟は経済に寄与するとの誤解があります。もし英語ができれば経済的によい結果になるとするならば、よく引き合いに出されますが、英語の本家イギリスと英語が苦手な日本の経済に天地ほどの差があってしかるべきであります。現実をごらんいただければ答えは全く逆であり、20世紀を通してイギリス経済はずっと斜陽であり、GDPでは日本の半分ほどでありました。英語のできない日本は最大の経済成長を遂げております。 国民の英語力と国際的プレゼンスが無関係なのは、ロシア、フランス、中国といった大国の国民のほとんどが英語を話せないということからも明らかであります。小学校の英語教育は無意味であるばかりではなく、ほかの教科の時間を奪うだけ有害であると確信いたします。国民病とも言えるアメリカ追随主義にもつながる、自国の伝統・文化を知らずして何の英語教育でありましょう。ましてや、国語力の低下が指摘されている昨今、どこから英語を早期教育しようという発想が出てくるのか、甚だ理解に苦しみます。 さて、保護者から早期英語教育を望む声はどれほどあるのか、データがありましたらお教えください。

◯指導室長(藤井千惠子君)
平成18年の7月から8月にかけて実施しました魅力ある区立学校づくりのためのアンケート調査によりますと、区内小学校において今後充実を希望する施策として、英語教育の強化、国際コミュニケーション能力の育成を挙げている保護者が40%から48%程度おり、国際科推進への期待の大きさがうかがえます。 ご心配されています国語力につきましても、その重要性は十分認識し、読書活動の充実や漢字検定の導入、朗読活動の推奨、小学校におけます土曜日の作文教室の実施を進めているところでございます。

◯委員(赤坂だいすけ君)
国語教育の重要性という観点を、今、推し進めていらっしゃるそうなので、その点は安心したところであります。 さらに続けます。保護者が早期英語教育の効果を幾ら思おうが、錯覚は錯覚であります。小学生は吸収も驚異的に早いですが、忘れることも驚異的に早いという事実があります。現に帰国子女のネイティブ並みの英語力を持つ小学生は、低学年であれば低学年であるほど、日本に来るとすさまじい勢いで英語を忘れていきます。週2時間の英語保持教室に通っても、1年たつとほとんど忘れます。特に2年生以下ですと3カ月で英語力はほとんど失われます。英語力ゼロの小学生が週2時間、会話中心の英語を習って、何か残るものがあるのか疑問に思っております。小学校英語を既に実践しているミッション系の学校がかなりありますが、中学校になり、よそから入ってきた英語力ゼロの生徒は、1年生のころこそ差がありますが、2年生になるとほとんどなくなり、3年生になると全くなくなります。 忘れてはならないのは、日本語は思考・想像にはとても恵まれた言葉であるという事実でございます。ちょっとこの辺はくどいので、飛ばします。 私が思うのは、英語はまさにできたらいいというレベルの代物でありまして、国民1人平均、一生に1カ月に満たない海外旅行や一生に数回という英語を話す外国人に道を聞かれるというときのために、時間を費やすならば、先日、自民党控室で冗談まじりで出ましたが、手品やカラオケの方が有用であるかと私は発言いたしました。 ましてや、基礎を学ぶ小学生では、根気よく学習する心構え、そして日本語をきちんと学習し、読み・書き、自分の考えをわかりやすく話したりできる能力を、まずは母国語である日本語で身につけなければならないと思います。大体、翻訳ソフトがこれだけ充実し、補聴器程度の大きさの自動同時翻訳機すら実現間近と言われる昨今、なぜ早期英語教育なのかという疑問を、これは質問で用意したんですけれども、藤井指導室長のお答えを聞いているうちに間違えた方向には進んでいないのかなと思いましたが、多くの保護者の方が「まあ、いいんじゃないの」というような安直な考えで英語教育に賛成しているということに対し、私は本当にそうなのかという揺り動かしをしたいわけでありまして、その点、どうか皆様も、早期英語教育ということに関しては、さまざまな識者からの弊害、そして効果等、現在、効果の方を挙げる識者の方が多いんですけれども、このような意見もあるということをどうかご承知おきいただいて、今後とも、子どもたちが国際人になればそれはそれでいいことでありますから、私も子どもがおりますから。それは関係ないんですけれども、多くの子どもたちが港区の教育が非常にいいということでよい結果になればいいと思いますので、私も勉強してまいりますが、私の考えとしては、やはり日本語を勉強することにもっと、教育特区ということで漢文を教えるとか古文を学ぶとか、そういう方に振り向けてほしかったなということはあります。 次に、部活動について質問いたします。中学校の部活指導者について質問させていただきます。部活動に指導に来る外部スタッフのことであります。先ほど二島委員がおっしゃっておりましたが、生徒にとりましては、指導者の力量が競技人生を決定する重要な要素であります。技術の向上にとどまらず、その競技を今後の人生において生涯楽しむかという意味合いにおいても、よい指導者との出会いは必須であります。しかしながら、指導者への不満が多々寄せられていることも事実であります。地域への理解もあり、かつ体育協会などの公的な資格を有する優秀な指導者が地域にはおります。しかしながら、そのような優秀な指導者は部活動の顧問の先生と知り合う機会がありませんので、なかなか部活動には登場いたしません。優秀な指導者掘り起こしについての工夫はありますでしょうか。 例えばですが、私自身、公的なテニス指導員の資格を取得する際、公的教育機関における指導実績が問われましたものですから、東京、神奈川、千葉などでの中学・高等学校のテニス部において無報酬での指導をやっておりました。単位を稼いでおりました。現在でもご縁ということでそれらの中学校・高等学校において合間を見つけて部活動の指導を私自身続けておりますが、このように選手としてリタイアしつつありつつも、地域社会に役立ちたいと。また、さっき杉浦委員が、おらがまちからの選手をと思っている方もおられますし、しかしながら、そのような方々はまちの有力者等の知り合いがいないため、全く声がかからないというか、行政も把握する手だてがない。どうか体育協会の方との連携を進めていただければ結構簡単に行くのかなと思っておりますが、私自身は体育協会公認の指導資格も有しておりますが、どんなにそういう資格を持とうが、港区のテニス大会で私が実績を上げようが、私は港区から一度も声がかかったことはありません。なぜなのだろうと私の妻に疑問を投げかけましたら、妻いわく、「それはあなたの人柄の問題なのではないか」との指摘を受けましたので、現在、私自身、専ら人格修養に努めているわけでありますが、やはり人格という、人柄という問題もありますから、顧問の知り合いとか、何か声が大きい人だとか、そういうことだけで部活の指導者にするのもいかがなものかと思うわけであります。 また、報酬についての質問でありますが、目安、基準をお教えいただきたく存じます。おそらく一律となっていると思われます。回数について漏れ伝え聞くところによりますと、大体年間20回ほどということを聞きましたが、例えば水泳の施設が整っている中学校でありますとか、どうですかね、プールがない学校、そんな学校はないですかね。顧問、コーチが一律の報酬というよりは、多少の差があってもいいのかなと。テニスコートが複数ある学校とか、1面しかない学校とか、それによっても報酬に多寡があってもよろしいかなと思います。また、最近問題になっているのが民間のスポーツスクールからのコーチ派遣であります。そのスクールに通う部員とそうでない部員との間にも、少なからずのあつれきが生じているとのお訴えが多々あります。部活では、あくまでも学校教育の一環でありますから、民間のテニス・スポーツスクール、そういう民間からの活用は極力避けるべきであろうと思われますが、実態を把握しておられましたらお教えいただきたく存じます。

◯指導室長(藤井千惠子君)
中学校の部活動指導におきます外部指導者への謝礼の支払いの基準につきましては、1日6,000円の一律となってございます。外部指導員の導入は、専門的な技術の習得の充実を図るだけではなく、学校の小規模化に伴い、教員だけでは部活動の指導を行うことが難しい場合の対応としても必要でございます。謝礼額につきましては、学校規模や施設の状況などの違いから、学校ごとにその活動状況はさまざまではありますが、港区におきましては、重ねて申し上げますが、全校一律としてございます。 外部指導者の実態につきましては学校によりさまざまで、地域のスポーツ指導者、体育指導委員、学生指導者を採用している学校、また、ご指摘のありました民間スポーツスクールにおけるコーチを指導者として採用している学校もあります。学校におきまして新たに指導者を採用する際には、それぞれの部活動の活動状況に応じ、港区体育協会からの指導員紹介も含め対応してまいりたいと考えております。

◯委員(赤坂だいすけ君)
部活動というのは学校教育の一環でありますけれども、ふだんの授業とはちょっと違った独立したような雰囲気も漂うところでありますので、その辺、どうかうまくご差配をお願いいたします。 最後になりますが、新郷土資料館についてなのですけれども、今回、質問はいたしませんが、私自身、非常に期待しているところであります。といいますのも、私はずっと本業が歴史の本を書く仕事をしておりまして、随分郷土資料館の方にはお世話になりました。この幕末大全という本は私が勤めている編集部で作っているのですけれども、例えば、お台場につきまして、従来、お台場というのは江川太郎左衛門が西洋砲術を駆使して、敵船の迎撃の場合、お台場砲台の配置を非常に工夫したなんていうふうに思われていたんですけれども、郷土資料館の学芸員の高山優さんが出してくれた資料によると、みお筋を避けて州の上につくっていったという、非常に地形に制約された配置であったということが結構明らかになりまして、これが現在、幕末のお台場に関する通説になりつつある。 かつまた、先ほどいのくま委員から増上寺の話が出ましたので思い出しましたが、増上寺の法主の成田有恒さん、直木賞作家の寺内大吉さんですね、彼が、織田信長に追放された佐久間信盛についての本を書いたときに、私は編集の仕事をしたのですけど、そのとき、佐久間信盛が織田信長に追放された原因として本願寺側からわいろを取っていたという資料も郷土資料館の方から提出されて、私の勤めている学習研究社では港区の郷土資料館というのは非常に動きもよく、資料もすぐ出てきて、すごくいい資料館で、例えばたまに変な資料館があったりするので、そういう比較であるのですけれど、しかしながら、三田図書館の上にあるということで、みんなびっくりして、「あ、あんなところにあったんだ」という話が結構あるわけですね。優秀な学芸員、そして豊富な資料、そして歴史の史跡が多々ありますので、この新郷土資料館について多方面から期待を寄せられている声がありますので、どうか気概に感じていただいて、期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 以上で質問を終わります。