平成20年第4回定例会
要旨
1 区内都立公園のボール遊び解禁への要望について
(1) 進捗状況について昨年の一般質問において区長より、都へ再度要望するとの前向きな御答弁を頂いた。益々悪化している現況下、進捗状況を伺う。
2 ネット掲示板について
(1) ネット掲示板より派生するいじめについてネット掲示板「学校裏サイト」の存在についての認識と各学校における状況の把握は。
(2) 区、各学校の対応について
「いじめ」への区の考え方と具体的対応についての指針を策定し、生徒、保護者に公開を。
3 参集訓練について
(1) 訓練実施状況について導き出された実態と活用への展望は。
(2) 管理職の港区在住状況について
家賃補助等の具体的な港区定住への導きを。
4 やすらぎ会館について
(1) 二階出入り口設置について敷地内にある都有地を無償で有効利用できることになった成功例を生かし、他の都有地へも有効的取り組みを。
5 その他
全文
◯議長 八番赤坂だいすけ議員。
〔八番(赤坂だいすけ君)登壇、拍手〕
◯八番(赤坂だいすけ君)
平成二十年第四回港区議会にあたり、区長並びに教育長に一般質問をさせていただく前に、一言申し添えます。 過日十一月四日、バラク・オバマ候補がアメリカ次期大統領に選ばれました。日本人である私は、もちろんジョン・マケイン候補を応援しておりましたが、オバマ候補の当選のニュースに際し、実は心の奥底では若いオバマ候補の勝利を渇望していたのだということに気づかずにはいられませんでした。来年一月二十日には四十七歳の若き指導者がアメリカ第四十四代大統領に就任いたします。 言うまでもなく、英国よりの独立を果たしての西暦一七七六年の建国以来、初の黒人大統領の誕生であります。かつてジョン・F・ケネディが宗教の壁を破ったように、オバマ氏は人種の壁を破りました。四年前に彗星のごとく政界にあらわれた経験の浅いオバマ氏を選び、彼に希望を託したアメリカ。国益を代表する最高責任者、大統領にいかにすぐれた人材とはいえ、黒人オバマ氏を選択した事実は、重大な歴史的大転換であります。 公的記録上、二千六百六十八年の歴史を誇る日本に比べれば、たったの二百三十二年というひよこのようなアメリカの歴史とはいえ、アメリカ国民の英断に心より敬意を表させていただきます。 この歴史的大転換に際し思い起こされますのは、かつて第一次世界大戦終戦翌年の大正八年(一九一九年)に開かれましたパリ講和会議であります。総会に先立ち、国際連盟設立を提案されていた日本政府は、会議に参列する西園寺公望、牧野伸顕外相ら総勢六十四名に、「国際連盟につき提案成立すべき形勢を見るにいたらば、人種的偏見より生ずることあるべき帝国の不利を除去せむかため、事情の許す限り適当なる保障の方法を講ずべし」との訓令、すなわち世界に先駆けた人種差別撤廃条文の提案を通達しておりました。 同年四月十一日、最終の国際連盟委員会におきまして、日本は、民族平等と各民族所属の各人に対する公正な待遇の原則を承認することとの人種差別撤廃条文を提案したのでありますが、委員長であった当時のウィルソン・アメリカ大統領は、世界注視の中で日本の提案を却下、不成立と判断いたしました。かつて先帝陛下も大東亜戦争の根本原因は日本が提案した人種平等案を他の列強白色人種諸国にむげにけられたことに起因することを以下のように述べておられたことが「昭和天皇独白録」に確認できます。「日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然残存し、加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである」と。驚くなかれ、たった九十年前には当時の日本以外はすべて白色人種であった列強国には、人種差別撤廃の選択肢など絶対あり得なかったのであります。 そろそろ質問に移りたいと思います。 我々が夢を託すべき子どもたちを取り巻く環境についてであります。 大人の大人による大人のための利便性のもとで、子どもたちのための空間がありません。大人の目線による大人にとっての快適な子どもの遊び場ばかりで、本来遊びの天才であるはずの子どもたちがかわいそうでなりません。区内における都立公園、象徴的な事例といたしましては、南青山一丁目公園におきまして、子どもがボール遊びするたびにクレームをつける近隣住民による連絡によりまして、小学生らが駆けつけたおまわりさんに取り囲まれるという異常な事態が頻出、増加しております。 公園内を走り回る自転車、おじいさん、おばあさんたちが行うゲートボールなどには何ら言及は行われず、子どもたちが行うボール遊びだけが目のかたきにされている状況はますます悪化しており、警察署によりますと、ここ半年で二十二件、子どもがボール遊びをしているとの通報があり、先月、先々月と私のもとにも話が来ましたが、幼稚園児のボール遊びに通報を受けたおまわりさんたちが駆けつけ、取り囲まれた幼児園児らが「おまわりさんだ、おまわりさんだ」とはしゃぐ光景は何ともやり切れないものがあったと友人が申しておりました。おまわりさんからお母様方に、規則は規則なのでボール遊びはやめるよう通達がなされております。あくまでも都立公園ということで、区からの要請に限界があることはわかっております。しかしながら、公園を利用する方々は、区内の公園を区立か都立か判別いたしません。 前回私は、区長に「危険でない範囲でのボール遊び解禁」について、東京都へ要望を行ってほしい旨、同様の質問を行いました。区長からも引き続き東京都へ要望を行っていくとの前向きなご答弁をいただきました。その後の進捗状況についてお伺いいたしたく存じます。 次に、ネット掲示板に起因するいじめについてであります。 いじめの温床としてマスコミなどでも取り上げられている「学校裏サイト」、正式には広告付き公開型学校別無料掲示板サイトであり、主に中高生が運営する勝手サイトであります。大抵は学校ごとに開設され、中身はだれでも自由に書き込みができるネット掲示板であることが多く、文部科学省の調査によりますと、中学校及び高等学校の学校裏サイトは、二〇〇八年一月から三月現在で、全国の中学校、高校の総数一万六千校の倍以上となる三万八千二百六十サイト余りが存在することが判明しております。 この膨大な数の「学校裏サイト」に対し、教育関係者らが検索閲覧できる「案内サイト」を民間団体が開設したところ、学校などからの閲覧申請が殺到しているとのことであります。しかしながら、単純なネット監視では、実態に追いつけないのは自明であります。犯人探しをしたり、誹謗中傷コメントを書いた者に謝罪を求めたり、その責任を学校やネットに求めているばかりでは根本的解決には結びつきません。誹謗中傷を書き込んでいる子どもたちの多くは、大人が居酒屋で上司や部下の悪口を言ってせいせいして、翌日からすっきりとその上司、部下と仕事をしているというような軽い気持ちで書いているのが大方であります。ただ、ネットで広く公開されている場での誹謗中傷がどれほど書かれた本人を苦しめ、家族や社会にインパクトを与えているか、その重要性を認識していないだけなのです。事前に認識させることが必要であります。 いじめに対し、港区としての、そして各学校としての考え方と具体的な対応を指針・ガイドラインとして作成し、生徒と保護者に公開する。また、どのようなケースに対し、港区、各学校はいじめと判断するのか。いじめを察知した者はどこに連絡をとればよいのか。保護者はだれに連絡をすればいいのか。そして、港区や学校や先生はどのような行動をとるのか。具体的な対応を事前に周知しておけば抑止にもなり得るのではないでしょうか。日本全国、いや世界各国でもかいま見られるこの問題について、教育長のご見解をお伺いいたします。 次に、参集訓練についてであります。 先日の決算特別委員会にて我が会派の菅野議員よりも同様の質問がありましたが、参集訓練についてお伺いいたします。関東地方におきまして、向こう三十年のうちに七〇%強の確率で大地震が起こると想定されております。ちなみに首都直下型地震でマグニチュード七・三の大地震が発生した被害想定では、「港区は震度六強及び六弱の揺れに見舞われる。死者数は七十名、負傷者数は七千六百七十四名、建物被害は、全壊千六百十二棟、地震火災による焼失四百六十九棟、避難者数は六万二千七百五十五名、帰宅困難者数は四十六万七千二百八十九名」との予測がなされております。 地震が発生する前に、耐震化の推進など、さまざまな防災予防対策を講じることは当然でありますが、予防対策としての重要な準備の一つとして、区の職員体制がどれぐらいの規模で確保でき、迅速な対応ができるのか。そのための事前準備としての参集訓練は非常に重要であります。大地震発生時における職員の配置態勢についてですが、職員が勤務している時間帯に災害が起きた際は、災害対策にそのまま職員を活用することで、初動態勢を確保できることは言うまでもありません。問題なのは、勤務時間外の夜間や土日・祝日など職員が職場にいないときに災害が発生したときであります。簡略に計算いたしますと、一年間で職員が職場にいる時間といない時間を比較しますと、昼休みを含めましても、職員が職場にいる時間は約二五%にとどまります。必然的にいない時間は七五%となるわけで、災害時に、区として勤務時間外の職員をどのように確保し、機能させるかは重要な問題となってくるわけであります。災害が発生した場合は、まず、初動態勢、次に即時対応が必要となり、しかるべき後に復旧対応へと進みます。 繰り返しになりますが、どれをとりましても職員の態勢確保は重要であります。区は、初動態勢の確立を進めるために、ことしの八月三十一日の日曜日に災害対策住宅居住職員を中心に、区内の居住職員、総勢約三百名に対して、この参集訓練を実施されました。その訓練は災害時に区役所や各総合支所、学校等に駆けつけ、災害対策本部や災害対策地区本部、避難所を立ち上げるために、あらかじめ決められている役割分担に沿って職員が実施・確認する具体的な訓練であったと聞き及んでおります。初動態勢について、具体的、実践的な訓練を実施したことは、大変意義がありましょう。一部ではリーダーが指定されていないため円滑に進まなかった点や避難所に入るための開錠に手間取るなど、残された課題はあるとしても、大きく前進していることは間違いがなく、今後とも実践的な参集訓練を徹底していただきたく存じます。 また、八月三十一日に実施された初動態勢の参集訓練者を除いて、十一月上旬には東京二十三区内に居住している職員を対象に四時間から五時間をかけて徒歩で参集する、千名もの職員を動員した大規模な参集訓練を実施したと聞き及んでおります。これは初動態勢を確立した後に参集してくる職員の訓練であり、管見ではこのような参集訓練は他の自治体におきましても、実施した事例を伺いません。高く評価されてしかるべきであろうと存じます。 実際に災害に対応する即時対応期、すなわち地域防災計画では一時間後から七十二時間後までとされている時間でありますが、主な活動としては、情報収集・提供、医療救護、道路障害物の除去、備蓄物資の避難所への移送、給水活動、トイレの設置、徒歩帰宅対応、遺体収容所の設置であります。この即時対応期にどのような職員の配備態勢が確保できるのかが、このたびの参集訓練の要衝であったと思われます。 ここで質問ですが、この参集訓練の意義とその成果、そして導き出された課題についてお伺いいたします。 また、災害時は区民が自立した行動をし、地域の中でともに協力する自助、共助を行うことは絶対前提であるといたしましても、区は区民に直接触れ合う身近な自治体として、区民を守るために最大限の公助を行うべきことは言うまでもなく、そのためには港区を十分知り尽くし、区民のために働いている職員の力は必要不可欠であります。しかしながら、職員は区内、都内、近県などさまざまなところに居住している実態は仕方がないとして、災害時に職員の多くが参集することができるような、さらなる実践的な訓練が必要であります。今後どのような参集訓練を行う予定であるのかについてもお伺いいたします。 さらには、より充実した初動態勢を確保するために、管理職が居住する職務住宅を整備・設置することは急務であると存じます。区長のご見解をお伺いいたします。 最後に、国公有地の有効活用についてお伺いいたします。 港区立区民斎場やすらぎ会館敷地内の都有地が無償で有効利用されることになりました。やすらぎ会館は平成九年の開館以来、区民への周知、利用状況、運営、そして利用者の反応もおおむね良好でありつつも、二階部分の搬入、搬出口の設置への要望が港区葬祭業組合などより寄せられておりましたが、ことしに入り、東京都議会議員のきたしろ議員の仲立ちと働きかけによりまして、東京都建設局と区の地域振興課との協議が円滑に進んだ結果、敷地内にある都有地を無償で活用できることとなり、念願であった二階出入り口部分設置が実現するという、区民にとり大変有意義な事例となったことは大いに評価されてしかるべきであろうと存じます。また、区内にも多く散見されます国公有地に関し、区民生活へ資する有効活用ができた今回の成功事例は大いに参考になりましょう。区内における他の国公有地の区民生活向上に資する活用への今後の取り組みについて、抱負といいましょうか、意気込みをお聞かせいただきたく存じます。 ご清聴ありがとうございました。 〔区長(武井雅昭君)登壇〕
◯区長(武井雅昭君)
ただいまの自民党議員団の赤坂だいすけ議員のご質問に順次お答えいたします。 最初に、都立公園におけるボール遊び解禁要望の進捗状況についてのお尋ねです。 危険でない範囲でのボール遊びの解禁について、東京都に要望いたしましたところ、子どものボール遊びは、基本的に禁止しておらず、必要に応じて関係者へ説明する旨の回答を得ております。区といたしましても、公園管理者である東京都が、速やかに関係者への説明や調整を行い、近隣住民の理解を得て、子どもたちが安心してボール遊びができるよう、改めて東京都に要望してまいります。 次に、参集訓練についてのお尋ねです。 まず、参集訓練の意義と成果、課題についてです。参集訓練は、災害時に徒歩により参集する場合に備え、実際の参集経路及び参集時間の確認など、各職員が事前に体験することを目的として実施しております。成果といたしましては、今回の訓練は、港区から八キロから二十キロ圏内に当たる二十三区内に居住する職員について、時間経過ごとの参集職員数を把握することができたため、より実際に即した態勢を確立するための基礎資料が得られました。 また、職員は、実際の参集経路について、トイレや休憩場所となる公園や経路上の建物や道路の状況など、身をもって確認することができました。今回の訓練は、約千人の職員を参加させるものとしたため、通常業務への支障を生じさせないことが課題となりましたが、参集開始時間を早めるとともに、一定の訓練期間内での分散実施とするなどの配慮をいたしました。また、今後の課題として、徒歩による参集のみならず、自転車による参集も安全対策を考慮した上で、検討すべきと考えております。 次に、参集訓練の今後の予定についてのお尋ねです。 本年八月には、管理職及び災害対策住宅居住職員とそれ以外の区内居住職員を対象として、休日の初動態勢を確保するために、また十一月の訓練では、二十三区内に居住する職員などを対象として、参集訓練を実施いたしました。昨年度、参集訓練を実施した職員を含めると、全職員の三分の二が、参集訓練に参加したこととなります。今後は、災害対策住宅居住職員を活用した初動態勢の確保のための参集訓練を重ねるとともに、夜間の参集訓練や抜き打ちの参集訓練、さらに二十三区内の居住職員の参集訓練に加えて、二十三区外に居住する職員についても実施する必要があります。全職員が訓練に参加することにより、防災意識をより一層高めるとともに、区民の安全と安心のための態勢づくりが確立できるものと考えております。 次に、管理職の職務住宅の整備についてのお尋ねです。 現在、区では、地震災害等の非常事態に対する警戒態勢を確保するため、警戒待機者として管理職一名が交代で一年を通して夜間や休日に、区役所内に待機しています。防災対策等における職務住宅は、災害対策本部を設置する区役所に近い場所に管理職等を居住させることにより、警戒待機者とともに、一刻も早く災害時の態勢を整えるために設置するものです。災害対策本部の迅速な立ち上げなどの観点から、管理職の職務住宅の設置について、防災・危機管理対策部門を対象として、その具体的な役割、設置時期・設置場所・戸数などについて年度内を目途に方針をまとめてまいります。 最後に、国公有地の有効活用への取り組みについてのお尋ねです。 道路、公園など、現に公共用として供用されている国公有地は、その供用目的に沿って機能を発揮されるものであり、目的外の使用は容易には認められておりません。今回のやすらぎ会館の事例は、供用目的を踏まえて、会館利用者の利便性向上を目指した区の働きかけと東京都の理解により、地下埋設物の移設など、道路管理上の課題を解決することを前提に、敷地の占用が可能となったものです。区としては、区民の福祉向上、または利便性の確保を含め、国公有地が適地と考える場合には、費用対効果とともに、国や東京都の行政目的を損なわないよう配慮した上、その活用について取り組んでまいります。 よろしくご理解のほどお願いいたします。 教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。 〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
◯教育長(高橋良祐君)
ただいまの自民党議員団の赤坂だいすけ議員のご質問にお答えいたします。 ネット掲示板でのいじめ対策についてのお尋ねです。 いじめとは、児童・生徒が他の人から心理的、物理的な攻撃を受けることにより、精神や肉体に苦痛を感じることであり、姿の見えないネット掲示板の書き込みやメールによる誹謗中傷も含まれます。各学校では、いじめの早期発見、防止に向けた全児童・生徒との個人面談の実施や正しいインターネットやメールの利用をテーマにしたセーフティ教室の開催等を充実するとともに、「子どもたちを被害者にも加害者にもさせない」という強い意志を持って、情報モラル教育を推進しているところです。今後は、インターネットの望ましい利用方法等について、児童・生徒、保護者向け資料を作成し、教育及び啓発活動を行いながら、地域や家庭、関係諸機関と連携したネットいじめの未然防止、早期発見、迅速な対応に努めてまいります。 よろしくご理解のほどお願いいたします。
〔八番(赤坂だいすけ君)登壇、拍手〕
◯八番(赤坂だいすけ君)
平成二十年第四回港区議会にあたり、区長並びに教育長に一般質問をさせていただく前に、一言申し添えます。 過日十一月四日、バラク・オバマ候補がアメリカ次期大統領に選ばれました。日本人である私は、もちろんジョン・マケイン候補を応援しておりましたが、オバマ候補の当選のニュースに際し、実は心の奥底では若いオバマ候補の勝利を渇望していたのだということに気づかずにはいられませんでした。来年一月二十日には四十七歳の若き指導者がアメリカ第四十四代大統領に就任いたします。 言うまでもなく、英国よりの独立を果たしての西暦一七七六年の建国以来、初の黒人大統領の誕生であります。かつてジョン・F・ケネディが宗教の壁を破ったように、オバマ氏は人種の壁を破りました。四年前に彗星のごとく政界にあらわれた経験の浅いオバマ氏を選び、彼に希望を託したアメリカ。国益を代表する最高責任者、大統領にいかにすぐれた人材とはいえ、黒人オバマ氏を選択した事実は、重大な歴史的大転換であります。 公的記録上、二千六百六十八年の歴史を誇る日本に比べれば、たったの二百三十二年というひよこのようなアメリカの歴史とはいえ、アメリカ国民の英断に心より敬意を表させていただきます。 この歴史的大転換に際し思い起こされますのは、かつて第一次世界大戦終戦翌年の大正八年(一九一九年)に開かれましたパリ講和会議であります。総会に先立ち、国際連盟設立を提案されていた日本政府は、会議に参列する西園寺公望、牧野伸顕外相ら総勢六十四名に、「国際連盟につき提案成立すべき形勢を見るにいたらば、人種的偏見より生ずることあるべき帝国の不利を除去せむかため、事情の許す限り適当なる保障の方法を講ずべし」との訓令、すなわち世界に先駆けた人種差別撤廃条文の提案を通達しておりました。 同年四月十一日、最終の国際連盟委員会におきまして、日本は、民族平等と各民族所属の各人に対する公正な待遇の原則を承認することとの人種差別撤廃条文を提案したのでありますが、委員長であった当時のウィルソン・アメリカ大統領は、世界注視の中で日本の提案を却下、不成立と判断いたしました。かつて先帝陛下も大東亜戦争の根本原因は日本が提案した人種平等案を他の列強白色人種諸国にむげにけられたことに起因することを以下のように述べておられたことが「昭和天皇独白録」に確認できます。「日本の主張した人種平等案は列国の容認する処とならず、黄白の差別感は依然残存し、加州移民拒否の如きは日本国民を憤慨させるに充分なものである」と。驚くなかれ、たった九十年前には当時の日本以外はすべて白色人種であった列強国には、人種差別撤廃の選択肢など絶対あり得なかったのであります。 そろそろ質問に移りたいと思います。 我々が夢を託すべき子どもたちを取り巻く環境についてであります。 大人の大人による大人のための利便性のもとで、子どもたちのための空間がありません。大人の目線による大人にとっての快適な子どもの遊び場ばかりで、本来遊びの天才であるはずの子どもたちがかわいそうでなりません。区内における都立公園、象徴的な事例といたしましては、南青山一丁目公園におきまして、子どもがボール遊びするたびにクレームをつける近隣住民による連絡によりまして、小学生らが駆けつけたおまわりさんに取り囲まれるという異常な事態が頻出、増加しております。 公園内を走り回る自転車、おじいさん、おばあさんたちが行うゲートボールなどには何ら言及は行われず、子どもたちが行うボール遊びだけが目のかたきにされている状況はますます悪化しており、警察署によりますと、ここ半年で二十二件、子どもがボール遊びをしているとの通報があり、先月、先々月と私のもとにも話が来ましたが、幼稚園児のボール遊びに通報を受けたおまわりさんたちが駆けつけ、取り囲まれた幼児園児らが「おまわりさんだ、おまわりさんだ」とはしゃぐ光景は何ともやり切れないものがあったと友人が申しておりました。おまわりさんからお母様方に、規則は規則なのでボール遊びはやめるよう通達がなされております。あくまでも都立公園ということで、区からの要請に限界があることはわかっております。しかしながら、公園を利用する方々は、区内の公園を区立か都立か判別いたしません。 前回私は、区長に「危険でない範囲でのボール遊び解禁」について、東京都へ要望を行ってほしい旨、同様の質問を行いました。区長からも引き続き東京都へ要望を行っていくとの前向きなご答弁をいただきました。その後の進捗状況についてお伺いいたしたく存じます。 次に、ネット掲示板に起因するいじめについてであります。 いじめの温床としてマスコミなどでも取り上げられている「学校裏サイト」、正式には広告付き公開型学校別無料掲示板サイトであり、主に中高生が運営する勝手サイトであります。大抵は学校ごとに開設され、中身はだれでも自由に書き込みができるネット掲示板であることが多く、文部科学省の調査によりますと、中学校及び高等学校の学校裏サイトは、二〇〇八年一月から三月現在で、全国の中学校、高校の総数一万六千校の倍以上となる三万八千二百六十サイト余りが存在することが判明しております。 この膨大な数の「学校裏サイト」に対し、教育関係者らが検索閲覧できる「案内サイト」を民間団体が開設したところ、学校などからの閲覧申請が殺到しているとのことであります。しかしながら、単純なネット監視では、実態に追いつけないのは自明であります。犯人探しをしたり、誹謗中傷コメントを書いた者に謝罪を求めたり、その責任を学校やネットに求めているばかりでは根本的解決には結びつきません。誹謗中傷を書き込んでいる子どもたちの多くは、大人が居酒屋で上司や部下の悪口を言ってせいせいして、翌日からすっきりとその上司、部下と仕事をしているというような軽い気持ちで書いているのが大方であります。ただ、ネットで広く公開されている場での誹謗中傷がどれほど書かれた本人を苦しめ、家族や社会にインパクトを与えているか、その重要性を認識していないだけなのです。事前に認識させることが必要であります。 いじめに対し、港区としての、そして各学校としての考え方と具体的な対応を指針・ガイドラインとして作成し、生徒と保護者に公開する。また、どのようなケースに対し、港区、各学校はいじめと判断するのか。いじめを察知した者はどこに連絡をとればよいのか。保護者はだれに連絡をすればいいのか。そして、港区や学校や先生はどのような行動をとるのか。具体的な対応を事前に周知しておけば抑止にもなり得るのではないでしょうか。日本全国、いや世界各国でもかいま見られるこの問題について、教育長のご見解をお伺いいたします。 次に、参集訓練についてであります。 先日の決算特別委員会にて我が会派の菅野議員よりも同様の質問がありましたが、参集訓練についてお伺いいたします。関東地方におきまして、向こう三十年のうちに七〇%強の確率で大地震が起こると想定されております。ちなみに首都直下型地震でマグニチュード七・三の大地震が発生した被害想定では、「港区は震度六強及び六弱の揺れに見舞われる。死者数は七十名、負傷者数は七千六百七十四名、建物被害は、全壊千六百十二棟、地震火災による焼失四百六十九棟、避難者数は六万二千七百五十五名、帰宅困難者数は四十六万七千二百八十九名」との予測がなされております。 地震が発生する前に、耐震化の推進など、さまざまな防災予防対策を講じることは当然でありますが、予防対策としての重要な準備の一つとして、区の職員体制がどれぐらいの規模で確保でき、迅速な対応ができるのか。そのための事前準備としての参集訓練は非常に重要であります。大地震発生時における職員の配置態勢についてですが、職員が勤務している時間帯に災害が起きた際は、災害対策にそのまま職員を活用することで、初動態勢を確保できることは言うまでもありません。問題なのは、勤務時間外の夜間や土日・祝日など職員が職場にいないときに災害が発生したときであります。簡略に計算いたしますと、一年間で職員が職場にいる時間といない時間を比較しますと、昼休みを含めましても、職員が職場にいる時間は約二五%にとどまります。必然的にいない時間は七五%となるわけで、災害時に、区として勤務時間外の職員をどのように確保し、機能させるかは重要な問題となってくるわけであります。災害が発生した場合は、まず、初動態勢、次に即時対応が必要となり、しかるべき後に復旧対応へと進みます。 繰り返しになりますが、どれをとりましても職員の態勢確保は重要であります。区は、初動態勢の確立を進めるために、ことしの八月三十一日の日曜日に災害対策住宅居住職員を中心に、区内の居住職員、総勢約三百名に対して、この参集訓練を実施されました。その訓練は災害時に区役所や各総合支所、学校等に駆けつけ、災害対策本部や災害対策地区本部、避難所を立ち上げるために、あらかじめ決められている役割分担に沿って職員が実施・確認する具体的な訓練であったと聞き及んでおります。初動態勢について、具体的、実践的な訓練を実施したことは、大変意義がありましょう。一部ではリーダーが指定されていないため円滑に進まなかった点や避難所に入るための開錠に手間取るなど、残された課題はあるとしても、大きく前進していることは間違いがなく、今後とも実践的な参集訓練を徹底していただきたく存じます。 また、八月三十一日に実施された初動態勢の参集訓練者を除いて、十一月上旬には東京二十三区内に居住している職員を対象に四時間から五時間をかけて徒歩で参集する、千名もの職員を動員した大規模な参集訓練を実施したと聞き及んでおります。これは初動態勢を確立した後に参集してくる職員の訓練であり、管見ではこのような参集訓練は他の自治体におきましても、実施した事例を伺いません。高く評価されてしかるべきであろうと存じます。 実際に災害に対応する即時対応期、すなわち地域防災計画では一時間後から七十二時間後までとされている時間でありますが、主な活動としては、情報収集・提供、医療救護、道路障害物の除去、備蓄物資の避難所への移送、給水活動、トイレの設置、徒歩帰宅対応、遺体収容所の設置であります。この即時対応期にどのような職員の配備態勢が確保できるのかが、このたびの参集訓練の要衝であったと思われます。 ここで質問ですが、この参集訓練の意義とその成果、そして導き出された課題についてお伺いいたします。 また、災害時は区民が自立した行動をし、地域の中でともに協力する自助、共助を行うことは絶対前提であるといたしましても、区は区民に直接触れ合う身近な自治体として、区民を守るために最大限の公助を行うべきことは言うまでもなく、そのためには港区を十分知り尽くし、区民のために働いている職員の力は必要不可欠であります。しかしながら、職員は区内、都内、近県などさまざまなところに居住している実態は仕方がないとして、災害時に職員の多くが参集することができるような、さらなる実践的な訓練が必要であります。今後どのような参集訓練を行う予定であるのかについてもお伺いいたします。 さらには、より充実した初動態勢を確保するために、管理職が居住する職務住宅を整備・設置することは急務であると存じます。区長のご見解をお伺いいたします。 最後に、国公有地の有効活用についてお伺いいたします。 港区立区民斎場やすらぎ会館敷地内の都有地が無償で有効利用されることになりました。やすらぎ会館は平成九年の開館以来、区民への周知、利用状況、運営、そして利用者の反応もおおむね良好でありつつも、二階部分の搬入、搬出口の設置への要望が港区葬祭業組合などより寄せられておりましたが、ことしに入り、東京都議会議員のきたしろ議員の仲立ちと働きかけによりまして、東京都建設局と区の地域振興課との協議が円滑に進んだ結果、敷地内にある都有地を無償で活用できることとなり、念願であった二階出入り口部分設置が実現するという、区民にとり大変有意義な事例となったことは大いに評価されてしかるべきであろうと存じます。また、区内にも多く散見されます国公有地に関し、区民生活へ資する有効活用ができた今回の成功事例は大いに参考になりましょう。区内における他の国公有地の区民生活向上に資する活用への今後の取り組みについて、抱負といいましょうか、意気込みをお聞かせいただきたく存じます。 ご清聴ありがとうございました。 〔区長(武井雅昭君)登壇〕
◯区長(武井雅昭君)
ただいまの自民党議員団の赤坂だいすけ議員のご質問に順次お答えいたします。 最初に、都立公園におけるボール遊び解禁要望の進捗状況についてのお尋ねです。 危険でない範囲でのボール遊びの解禁について、東京都に要望いたしましたところ、子どものボール遊びは、基本的に禁止しておらず、必要に応じて関係者へ説明する旨の回答を得ております。区といたしましても、公園管理者である東京都が、速やかに関係者への説明や調整を行い、近隣住民の理解を得て、子どもたちが安心してボール遊びができるよう、改めて東京都に要望してまいります。 次に、参集訓練についてのお尋ねです。 まず、参集訓練の意義と成果、課題についてです。参集訓練は、災害時に徒歩により参集する場合に備え、実際の参集経路及び参集時間の確認など、各職員が事前に体験することを目的として実施しております。成果といたしましては、今回の訓練は、港区から八キロから二十キロ圏内に当たる二十三区内に居住する職員について、時間経過ごとの参集職員数を把握することができたため、より実際に即した態勢を確立するための基礎資料が得られました。 また、職員は、実際の参集経路について、トイレや休憩場所となる公園や経路上の建物や道路の状況など、身をもって確認することができました。今回の訓練は、約千人の職員を参加させるものとしたため、通常業務への支障を生じさせないことが課題となりましたが、参集開始時間を早めるとともに、一定の訓練期間内での分散実施とするなどの配慮をいたしました。また、今後の課題として、徒歩による参集のみならず、自転車による参集も安全対策を考慮した上で、検討すべきと考えております。 次に、参集訓練の今後の予定についてのお尋ねです。 本年八月には、管理職及び災害対策住宅居住職員とそれ以外の区内居住職員を対象として、休日の初動態勢を確保するために、また十一月の訓練では、二十三区内に居住する職員などを対象として、参集訓練を実施いたしました。昨年度、参集訓練を実施した職員を含めると、全職員の三分の二が、参集訓練に参加したこととなります。今後は、災害対策住宅居住職員を活用した初動態勢の確保のための参集訓練を重ねるとともに、夜間の参集訓練や抜き打ちの参集訓練、さらに二十三区内の居住職員の参集訓練に加えて、二十三区外に居住する職員についても実施する必要があります。全職員が訓練に参加することにより、防災意識をより一層高めるとともに、区民の安全と安心のための態勢づくりが確立できるものと考えております。 次に、管理職の職務住宅の整備についてのお尋ねです。 現在、区では、地震災害等の非常事態に対する警戒態勢を確保するため、警戒待機者として管理職一名が交代で一年を通して夜間や休日に、区役所内に待機しています。防災対策等における職務住宅は、災害対策本部を設置する区役所に近い場所に管理職等を居住させることにより、警戒待機者とともに、一刻も早く災害時の態勢を整えるために設置するものです。災害対策本部の迅速な立ち上げなどの観点から、管理職の職務住宅の設置について、防災・危機管理対策部門を対象として、その具体的な役割、設置時期・設置場所・戸数などについて年度内を目途に方針をまとめてまいります。 最後に、国公有地の有効活用への取り組みについてのお尋ねです。 道路、公園など、現に公共用として供用されている国公有地は、その供用目的に沿って機能を発揮されるものであり、目的外の使用は容易には認められておりません。今回のやすらぎ会館の事例は、供用目的を踏まえて、会館利用者の利便性向上を目指した区の働きかけと東京都の理解により、地下埋設物の移設など、道路管理上の課題を解決することを前提に、敷地の占用が可能となったものです。区としては、区民の福祉向上、または利便性の確保を含め、国公有地が適地と考える場合には、費用対効果とともに、国や東京都の行政目的を損なわないよう配慮した上、その活用について取り組んでまいります。 よろしくご理解のほどお願いいたします。 教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。 〔教育長(高橋良祐君)登壇〕
◯教育長(高橋良祐君)
ただいまの自民党議員団の赤坂だいすけ議員のご質問にお答えいたします。 ネット掲示板でのいじめ対策についてのお尋ねです。 いじめとは、児童・生徒が他の人から心理的、物理的な攻撃を受けることにより、精神や肉体に苦痛を感じることであり、姿の見えないネット掲示板の書き込みやメールによる誹謗中傷も含まれます。各学校では、いじめの早期発見、防止に向けた全児童・生徒との個人面談の実施や正しいインターネットやメールの利用をテーマにしたセーフティ教室の開催等を充実するとともに、「子どもたちを被害者にも加害者にもさせない」という強い意志を持って、情報モラル教育を推進しているところです。今後は、インターネットの望ましい利用方法等について、児童・生徒、保護者向け資料を作成し、教育及び啓発活動を行いながら、地域や家庭、関係諸機関と連携したネットいじめの未然防止、早期発見、迅速な対応に努めてまいります。 よろしくご理解のほどお願いいたします。